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様々な市場調査レポートを提供する「Report Ocean」によると、世界の金属3Dプリンティング市場は2020年〜2027年の期間における成長率が32.5%超になると予想。とりわけアジア太平洋地域では過去最高の成長率を予想しています。
金属粉末を使って層を作り出す金属3Dプリンティングは、その精度の高さからより複雑で小さなデザインにも対応可能とされており、また金属による耐久性の高さから様々な産業・商業向け商品の製造に適している技術です。
金属3Dプリンティングを手がける主要企業は、激化する競争を勝ち抜くために積極的に合併・買収・パートナーシップの構築を進めており、業務提携によって3Dプリント用の新しい金属製品の製造を手がけたり、アメリカのスタートアップ企業がロボット工場の立ち上げにおいてNASAと契約したというニュースもあるなど、今後の市場動向からますます目が離せません。
※参照元:「MONOist」公式サイト(https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2103/26/news020.html)
インスタリム株式会社(東京都千代田区)は、世界初となる3Dプリント義足「Instalimb Type-L」「Instalimb Type-E」の日本向け製品を発表。
同社では2019年よりフィリピンにて発売を開始しており、すでに200名以上のユーザーを獲得。その実績をベースに日本のニーズに合わせた義足を開発しました。
これまでの義足は1本30~100万円(スポーツ用は50万~100万円以上)とされ、納期も2〜3週間かかるとされていましたが、インスタリムの義足は3Dプリンタと3Dモデリングの技術によって価格を約10分の1程度に抑えることに成功、より短期間で納品できるそうです。
また「靴を脱ぐと疲れやすい」という課題についても、踵に高さをつけないことでより疲れにくくなっていたり、防水性のため海・プール・温泉などでも利用できるとのこと。
軽運動用「Instalimb Type-E」であれば走ったりジャンプなども可能。気軽にスポーツができるなど、3DプリントによってQOLの向上にも寄与しているとしています。
※参照元:「MONOist」公式サイト(https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2102/19/news019.html)
ストラタシス社(米国ミネソタ州)は、同社のPolyJet方式3Dプリンタ・J8シリーズの新製品「Stratasys J850 Pro」を発表。
これは、フルカラーでの造形を必要としないニーズに向けたフルカラーなしの3Dプリンタであり、これまでの製品に比べより手頃な価格となっています。
主なターゲットは個人・家庭向け製品、自動車、医療機器などとする他、概念検証・デザイン検証・機能検証向けのプロトタイプ製作などが容易となっており、パーツ当たりの製造コストも約半分に抑えられるそうです。
なお、フルカラーに対応するPrimeバージョンへのソフトウェアアップグレードも可能となっています。
※参照元:「MONOist」公式サイト(https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2102/05/news030.html)
3Dプリンターでは自在に造形物をつくれるのが魅力ですが、産経新聞によると、3Dプリンターを使って家を建てることが可能なのだとか。そのうえ建設にかかる費用は内装費を含め300万円程度、所要時間は24時間程度(30坪程度)というのですから驚きです。
実は3Dプリンターを使った家づくりは世界各国でおこなわれており、2021年2月にはニューヨーク州で3Dプリンターによって建設された家が発売。
日本では3Dプリンターでの家づくりまでは実現していないものの、繊維大手であるクラボウ(倉敷紡績株式会社)ではフランスの3Dプリンター企業と塀などの建材の製作・販売を開始しました。
単に安い家ではなく居住性を追求した3Dプリンターの家が国内販売される日は、そう遠くないかもしれません。
※参照元:産経新聞「3Dプリンターの家は300万円24時間で建つ」(https://www.sankei.com/article/20210725-IRK5XIM6BJPRVPBLLMEIXQA3BQ/)
アイティメディア株式会社が運営する「ITmedia」によると、2021年6月30日、前田建設工業とPolyuseが3Dプリンターを用いた円柱型集水桝の造形と埋設施工の共同実証実験に成功したとのこと。
Polyuseは建設用の3Dプリンターを開発しており、建設用3Dプリンタ「ASHIGARU」を用いて円柱型集水桝を造形。円柱型集水桝は水密性の試験に合格しており、埋設施工も可能にしました。
なお、構造上の耐久性向上・使用材料量の最小化・野外環境下での施工・構造物に側溝や排水管を接続するなどもおこない、実際に利用できるかどうかの評価も実施しました。
今回3Dプリンターを用いた円柱型集水桝の造形と埋設施工に成功したことで、今後の更なる建設用3Dプリンターの実運用へつなげていくそうです。
※参照元:ITmedia「建設用3Dプリンタを用いた建設現場での円柱型集水桝の造形、埋設施工に成功」 (https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2107/12/news015.html)
近年、製造品の多様化に伴い、3Dプリンターに求められる機能性においても、性能が重視されることがポイントとなってきています。
ここでは、500万円未満のミドルクラスでありながら、高精細、高強度、短納期で造形できる3Dプリンターをそれぞれ紹介します。各製品の特徴に加えてショールーム情報もまとめました。
製品名 | 積層ピッチ | 最大造形サイズ (W×D×H) |
造形方式 | 材料などの特徴 |
---|---|---|---|---|
アジリスタ [キーエンス] 引用元:キーエンス公式HP
https://www.keyence.co.jp/products/3d-printers/3d-printers/ |
0.015mm~ | 297mm×210mm×200mm | インクジェット方式 |
アジリスタは、国産の3Dプリンターでは数少ないインクジェット方式を採用し、積層ピッチ0.015mmの高精細造形を実現。水溶性のサポート材の為、細部までしっかりと造形でき、部品の組付けまでできる精度を誇ります。 使用可能な材料はUV硬化アクリル樹脂とシリコーンゴム。 樹脂はアクリルに少量のウレタンを配合し、靭性を持たせているため、ネジを締めても割れないことが特徴です。 |
Mark Two [Markforged] 引用元:Markforged公式HP:
https://markforged.com/jp/3d-printers |
0.1mm~0.2mm | 350mm×132mmx154mm | 熱溶解積層方式+ 連続フィラメント方式 |
Mark Twoは、Markforged独自のカーボンファイバー連続繊維を使用できる方式が採用されています。 これは、造形物の内部にカーボンファイバーで骨組みを組成しながら形作っていく方式です。 これにより、高強度の造形が可能になり、製造工程で使う治具や工具、より強度が求められる部品の製造を行うことができます。 |
G-ZERO [グーデンベルグ] 引用元:PR TIMES公式HP:GUTENBERG社製 プロフェッショナル3Dプリンター G-ZEROの販売開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000057289.html |
0.05〜0.250mm | 250mmx210mmx200mm | 熱溶解積層方式 |
G-ZEROは、最大500mm/sというスピーディな造形ができます。 短時間で造形が可能になり、生産性が向上します。 高速で動くヘッドの振動を抑える技術も搭載し、ハイスピードながら安定感のある造形ができます。 |
■選定条件
アジリスタ[キーエンス]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高精細」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、インクジェット方式を採用し、積層ピッチが最小の製品として選出
Mark Two[Markforged]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 強度」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、カーボン素材を使用できるもので、唯一、熱溶解積層方式+連続フィラメント方式を採用している製品として選出
G-ZERO[グーテンベルク]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高速」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、造形速度が最速の製品として選出しました。