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立体的な造形物を手軽に作れる3Dプリンターの市場は、年々右上がりに拡大しています。そんな3Dプリンターを扱うための基礎知識や活用技術の有無を評価する「3Dプリンター活用技術検定」について調べました。試験の内容やメリット&デメリット、実際に受講した人達の口コミを紹介します。
3Dプリンター活用技術検定とは、一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)が主催している資格検定試験です。2017年からスタートした認定試験で、既に3Dプリンターを扱っているエンジニア、今後利用したいと考えている人、興味がある人などを対象に、造形方法や工程、CADデータの取り扱いなどの知識を評価します。
3Dデータに関する知識と技術が、今後さまざまな分野で必要だと予測されるなか、国内では扱う人材が不足しているのが現状です。この認定試験によって、3Dプリンターに関する正しい知識の普及、また活用技術の基準を高めることが可能になります。
3Dプリンター活用技術検定は、申し込みをすれば誰でも受験することができます。ただし、基本的には下記にある通り、既に3Dプリンターを使用しているエンジニアや、導入を検討している企業の担当者、就職予定の学生などが対象になるでしょう。
3Dプリンター活用技術検定は、CBT方式による多肢選択を用いた筆記試験(60問)を採用。60分間の試験時間内に、真偽方式と多肢選択の合計60問を回答します。試験内容は、試験実施年度版の公式ガイドブックに準拠して出題されます。以下は、2022年度3Dプリンター活用技術検定の試験内容です。
この項目は、3Dプリンターの造形材料、3Dプリンターの造形用データ、3Dプリンターの用途などが問われます。
材料押出(熱溶解積層)、液槽光重合(光造形)、材料噴射、指向性エネルギー堆積などについて問われます。
3Dプリンターを活用するときのポイントや事例、活用のノウハウ、注意点などについて問われます。
3Dプリンター活用技術検定の試験会場は、2022年12月現在、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州の全国8エリアで実施されています。
今後、受験者が増加すれば、試験会場が増える可能性があるでしょう。
3Dプリンター活用技術検定の合格基準は、総合的な正解率が70%以上になります。
検定ではガイドブック全体から幅広く出題される傾向にあります。テキストの内容を囲繞して出題してきたり、3Dプリンターを通常使用しているだけでは不要な知識も問題を出してきたりします。そのため試験対策は公式ガイドブック1冊を熟読しましょう。3Dプリンターを日常的に使っているならば、公式ガイドブックを2回ほど読破すれば十分合格が狙えると思います。そのため3Dプリンターを扱ったことがない、ほとんど触った経験がない人には難しい内容と感じる可能性があります。
3Dプリンターはまだ十分に社会で活用されている状況ではありません。それでも検定資格を取得することで社内調整をする上で有利になるでしょう。また社外とのやり取りでも説得力を発揮するかもしれません。企業勤めで製造部門に所属していなくとも、例えば企画部門ならこの資格を活用できる機会があるかもしれません。3Dプリンターの市場は拡大しつつあるので、業務で使用する機会があるなら資格を取得しても損ではないと思います。
合格率
平成30年度前期試験(平成30年9月9日実施)応募者:140名
受験者数 123名 合格者数 105名 合格率 85.4%※参考データ
・平成29年度後期試験(平成30年2月18日実施)応募者:142名
受験者数 132名 合格者数 124名 合格率 93.9%
・平成29年度前期試験(平成29年9月10日実施)応募者:137名
受験者数 120名 合格者数 107名 合格率 89.2%データ引用元:資格試験情報サイト「資格の難易度」 https://newtongym8.com/3dprinter.html
3Dプリンター活用技術検定は、前期(9月頃)と後期(2月頃)の年2回行われています。申し込みは試験実施日の約3カ月前から始まり、1カ月前に締め切られます。合否は検定試験後から約6週間後に、Webサイトで発表される流れです。
3Dプリンター活用技術検定の勉強は、一般社団法人コンピュータ教育推進委員会が編集した公式のガイドブックを使うのがおすすめです。
3Dプリンターに関して書かれている書籍は他にもありますが、公式ガイドブックでは、基礎知識が網羅的に集約されており、かつ理解しやすく解説してあると評判です。実際の試験の出題も、こちらのガイドブックの章に沿って行われるので、検定試験合格のためには、このテキスト1冊をしっかりと学習することがポイントと言えるかもしれません。
検定用の学習をすることで、自分が使ったことのない造形方法の工程や後処理、材料、その特性など幅広い知識を身につけることができます。
3Dプリンター業界(装置、材料、ソフトウェアなど)の市場規模は、今後、大きく拡大すると予想されています。しかし国内では、3Dプリンターに関する知識と技術を活用できる人材が、十分ではない状況があります。この業界に興味がある場合は「3Dプリンター活用技術検定」を受験しておいて損はないでしょう。
3Dプリンター活用技術検定の難点は、試験会場が少ないことです。2019年に試験が実施された場所は、全国でたったの6カ所だけです。会場のある都道府県以外に在住している人は、交通費だけでもかなりの出費になってしまうのがデメリットと言えます。
「自分が使ったことのない造形方式や造形材料の特性など、基礎的な知識が深まってよかった。3Dプリンターの取り扱い方法が詳しくなるので、持っていて損はしない検定試験だと思う」
「仕事で日常的に3Dプリンターを扱っているなら、試験対策をしなくても合格できるんじゃないか、という難易度。試験時間は1時間だったけど、半分の時間で解けるレベルだった」
「公式ガイドブックは、3Dに関する知識が分かりやすく網羅されているので、試験を受けるにあたりとても役に立ちました。ガイドブックの設問がそのまま試験に出題されたものあったので、テキストを使った勉強がおすすめです」
「役に立つ資格試験かもしれないが、受験料の8,000円はちょっと高いんじゃないかな…と思いました」
3Dプリンターは製造、建設設計、ヘルスケア業界だけでなく、今後はレジャー業界へも普及するだろうと言われています。この業界に興味があるのであれば、3Dプリンターの幅広い知識があると認定される「3Dプリンター活用技術検定」を取得しておいて損はないでしょう。