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その3.粉末焼結型
用途別3Dプリンター3選を
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この記事でわかること
- 粉末焼結方式の仕組みと、樹脂から金属まで対応可能な幅広い素材について
- サポート材不要で高耐久・複雑な造形ができるメリットと、表面の粗さなどのデメリット
- 2014年の特許切れにより低価格化が進み、導入のハードルが下がりつつある現状
積層造形法の一つ、粉末焼結方式について紹介。メリットやデメリットを調べました。
粉末焼結方式とは
粉末焼結方式は粉末樹脂や粉末金属に高出力のレーザー光線をあてて焼結して、立体的な造形物を作成する方式です。光造形と同じような原理で、ステージ上にある粉末を焼結・硬化させたら、次はステージを下げていくという方法を、一層一層繰り返すことで造形を行っています。
当初は価格が高かった粉末焼結方式の3Dプリンターも、2014年に特許が切れたことで、入手しやすい価格帯のモデルも登場してきました。
粉末焼結方式に対応する素材
粉末焼結方式では材料として粉末を用いますが、樹脂系では主にナイロンが使用でき、高靭性に優れたナイロン12やナイロン11、ポリプロピレン、耐熱性に優れたナイロン12+ガラスビーズ、耐熱性と高剛性に優れたナイロン6+ガラスビーズなどは粉末焼結方式でのプリントが向いています。
なお粉末焼結方式は金属素材にも使用でき、アルミニウムやチタン、ステンレス鋼、コバルト・クロム、ニッケル合金などさまざまな素材を使用できます。
粉末焼結方式のメリット
耐久性が高い
光造形方式と比べると、耐久性の高い造形物を作ることができます。
複雑な造形も可能
高精度な造形ができるため、複雑な構造にも対応できます。デザイン試作だけでなく、実際に動作をする試作品にも利用できるので、幅広い用途で活用できます。
サポート材が不要
粉末焼結はサポート材が必要ありません。そのため造形後にサポート材を取り除く作業はありません。
材料の自由度が高い
粉末焼結方式は、樹脂以外にもセラミックや一部の金属など、さまざまな種類の素材を扱うことができます。
粉末焼結方式のデメリット
装置が大きい
粉末焼結方式の大きなデメリットは、装置が非常に大きいことです。装置が大きいため置き場所、作業場所を確保する必要があります。
粉末の除去に手間がかかる
造形後は高圧のエアを使って、造形物に付着している粉末を除去する必要があります。除去に多少の手間がかかることと、粉末除去装置などの付随設備が必要になります。
表面がザラザラになる
粉末焼結は出力した造形物の表面がザラザラとした質感になるのが特徴です。表面が滑らかで光沢のある造形物を望んでいるケースには向いていません。
本体価格や維持費が高額
粉末焼結方式の3Dプリンターは、本体価格をはじめ、消耗品や保守のための維持費が非常に高額です。ただし特許が切れたことで本体価格が下がりつつあり、ローコストの粉末焼結方式3Dプリンターも期待されています。
粉末焼結方式の3Dプリンター
特許が切れた2014年からメーカーが続々と新しい機種を発表しています。イギリスのNorge社のモデルは、それまでの価格の10分の1程度になりました。また、スイスのスタートアップ企業Sintratec社が開発するintratecは、造形サイズが縦、横、高さとも130mmで、最大秒速70mmでの造形が可能です。
EOS M 290[EOS]
粉末の金属をレーザーで溶融し、固め造形する金属3Dプリンターです。400Wのファイバーレーザーが搭載されていて、高い細部形状再現性が得られるようになっています。複数の金属種類に対応しているので、プロトタイプだけでなく最終製品まで製作することが可能です。
まとめ
特許が切れて新機種が続々登場
これまで高額なものが多かった粉末焼結タイプの3Dプリンターですが、2014年に特許が切れました。そのため、各社がこぞって新機種を販売し、高耐久で材料の自由度が高いという便利な3Dプリンターが安価で購入できるようになりました。できるだけ、投資を抑えたいけど3Dプリンターには興味があるという人にはおすすめです。
この他にも様々なタイプの3Dプリンターがあるのでチェックしてみて下さい。
よくある質問
Q1
粉末焼結方式で部品をまとめて造形するとき、配置と取り出し方で何が変わりますか?
A
同じ造形室に複数の部品を配置できますが、詰め込めば一個当たりの費用が必ず下がるわけではありません。部品の間隔や向きは熱の伝わり方、取り出しやすさ、除粉作業に影響します。樹脂粉末では冷却中に部品が変形する場合もあるため、造形完了時刻だけで納期を見ないことが大切です。
予定数量を配置した造形データで所要時間と粉末使用量を見積もり、冷却・取り出し・除粉後の寸法を確認します。
Q2
粉末焼結方式の部品は、可動部の機能試作に使えますか?
A
材料と形状が合えば使えます。動く部品では、造形できる隙間と粉末を抜ける隙間が一致するとは限りません。可動部を開閉できても、残粉で摩耗しないかを確認します。粉末が周囲を支えるため複雑な形状を作りやすい一方、狭いすき間や内部流路には粉末が残る場合があります。動かしたい箇所のクリアランスと清掃経路を決め、除粉後に実際の荷重と動作回数で確認してください。
Q3
樹脂の粉末焼結方式なら、サポート除去の作業はなくなりますか?
A
樹脂のSLSでは未焼結粉末が部品を支えるため、別の支持材を外す工程は通常ありません。別の支持材を外さなくても、粉末を回収して清掃する作業は残ります。内部に届かない形状では、造形前に排粉経路を設けます。ただし、部品の取り出し、内部の除粉、表面仕上げは必要です。閉じた空洞や細い穴では粉末が残ることがあるため、設計時に出口と清掃方法を決めます。
Q4
粉末焼結方式で滑らかな外観部品を作るには、どう仕上げますか?
A
造形直後の表面は粒状の質感が残る場合があります。外観面を磨くと穴や細い突起の寸法まで変わり得ます。見せたい面だけ仕上げるか、加工代を設けるかを決めます。滑らかさや光沢が必要なら、ブラスト、研磨、塗装などの後処理を検討します。ただし、加工で寸法や細部が変わることもあります。見せたい面と公差が必要な面を分け、仕上げ後のサンプルで判断してください。
Q5
粉末焼結方式なら、樹脂と金属を同じ機械で造形できますか?
A
同じ『粉末床』でも、樹脂と金属では熱源、粉末管理、安全対策、後処理が異なり、一般に別の装置です。同じ粉末床という分類でも、樹脂と金属では装置の温度・安全対策・工程が別です。対応素材欄の名称まで確かめます。必要な材料を先に決め、対象機が対応する材料製品と造形条件を確認します。金属部品では熱処理や検査まで含めて選定してください。
Q6
粉末焼結方式の導入費用は、本体以外に何を見ますか?
A
粉末の保管・再利用、除粉設備、清掃と安全管理、保守、必要なら熱処理や仕上げを含めます。造形後の冷却と除粉は部品をすぐに取り出せない時間を作ります。装置の稼働率を見積もる際は、次の造形を始めるまでの時間も含めます。装置サイズや費用は機種ごとに異なり、旧機種の価格を目安にするのは危険です。
代表部品を必要数量で作る場合の材料・作業時間・設備費を計算してください。