公開日:|更新日:
CONTENT
知っておきたい「ものづくり補助金」の利用
用途別3Dプリンター3選を
詳しく見る
この記事でわかること
- ものづくり補助金の対象事業者や補助金額、申請に必要な要件
- 採択率を高めるための審査・加点ポイントと申請手続きの流れ
- 先端設備導入計画や経営強化税制など、併用できる公的支援制度・税制優遇
3Dプリンターの導入はものづくり補助金の対象となります。大企業ではなく、中小企業や小規模事業者に交付される補助金です。ものづくり補助金以外にも3Dプリンター導入時に利用できる制度があります。このページではそれらの制度について簡単に紹介します。
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは略称で、正式名称は「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」です。中小企業や小規模事業者を対象に交付される補助金で、借り入れではないため返還義務がないのがメリット。担保や保証人が不要で、金利も気にする必要がありません。補助金の上限額は実施される年によって違いますが、おおよそ1,000~1,500万円です。
補助対象となっている事業経費は、原材料費、機械装置費、直接人件費、技術導入費などです。対象となるかどうかは年度によっても異なるので、毎年公表される公募要領を確認してから申請準備を始めてください。
対象事業
ものづくり補助金の対象者は、国内に本社や補助事業を実施する場所がある会社や個人のうち、資本金と常勤従業員数が下記にまとめた表の数字以下になる者です。中小企業者や小規模事業者も含まれますので、要件に当てはまるかの参考にしてください。
| 業種 |
資本金 |
常勤従業員数 |
| 製造業、建設業、運輸業、旅行業 |
3億円 |
300人 |
| 卸売業 |
1億円 |
100人 |
| サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) |
5,000万円 |
100人 |
| 小売業 |
5,000万円 |
50人 |
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤ 及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) |
3億円 |
900人 |
| ソフトウェア業または情報処理サービス業 |
3億円 |
300人 |
| 旅館業 |
5,000万円 |
200人 |
| その他の業種(上記以外) |
3億円 |
300人 |
また、下記の特定事業者は、常勤従業員数が表の数字より上回っていても、資本金または出資額が10億円以下の場合、常勤従業員数の要件が以下となり、補助の対象となります。
- 製造業、建設業、運輸業…500人以下
- 卸売業…400人以下
- サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)…300人以下
- その他の業種(上記以外)…500人以下
このほか、企業組合や協業組合などの一部の組合関連や特定非営利活動法人も申請可能で、補助金の対象範囲はかなり広めであると分かります。
ただし、過去3年間に2回以上、類似する補助金の交付決定を受けた事業者や課税所得の年平均額が15億円を超える事業者、「みなし大企業」に該当する事業者などは、対象外となってしまうため注意が必要です。
補助金額
ものづくり補助金は、大きく「一般型」と「グローバル展開型」の2つに分かれています。一般型はさらに細かい枠が設けられていて、枠ごとの補助金額の上限と補助率は以下の通りです。
一般型
- 通常枠…100~1,250万円、補助率1/2(小規模事業者等は2/3)
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠…100~1,250万円、補助率2/3
- デジタル枠…100~1,250万円、補助率2/3
- グリーン枠…100~2,000万円、補助率2/3
一般型の場合、従業員規模によって補助を受けられる上限金額が異なります。
通常枠では、小規模事業者の場合も補助率が2/3に引き上げられます。ここで言う小規模事業者とは、常勤従業員数が製造業・宿泊業・娯楽業で20人以下、卸売業・小売業・サービス業で5人以下の企業です。
グローバル展開型
- 1,000~3,000万円、補助率1/2(小規模事業者等は2/3)
海外事業の拡大や強化を目的としたグローバル展開型の場合も、小規模事業者であれば補助率が2/3に引き上げられます。小規模事業者の定義は一般型の通常枠と同じです。
補助要件
ものづくり補助金を受けるためには、事業計画期間中、以下のすべてを満たす3〜5年の事業計画を策定する必要があります。
- 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
- 事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準に引上げ
- 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
通常枠以外の申請枠の場合、上の基本要件に加えて追加要件があるため注意が必要です。グローバル展開型では基本要件を満たす必要はありませんが、公募要領に記載された4類型のいずれか1つを満たす投資が求められます。
必要書類
ものづくり補助金に申請するには、以下の書類が必要です。
- 事業計画書
- 決算書等
- 賃金引き上げの誓約書
- 補助経費に関する誓約書
- 労働者名簿
- 従業員数の確認資料
- その他加点に必要な資料
「その他加点に必要な資料」とは、審査で加点項目となる要件を満たすための資料です。「経営革新計画承認書」や「特定適用事業所該当通知書」「(連携)事業継続力強化計画認定書」が挙げられます。
また、回復型賃上げ・雇用拡大枠では確定申告書類が必要など、申請枠に応じて別途必要な書類があります。
審査期間
ものづくり補助金は、令和2年の公募開始以来、通年で公募が行われています。応募期間は約2か月、審査期間が約1ヶ月です。令和5年の15次締切では、公募開始日が4月19日で申請開始日が5月12日、申請締切日は7月28日となっています。
申請が採択されることが決まったら、補助金を受け取るための交付申請が必要です。交付申請の約1か月後に交付決定が行われます。
申請方法
ものづくり補助金の応募申請は、電子申請のみとなっています。電子申請システムを利用するためには、事前に「gBizID」のアカウントを取得する必要があります。gBizIDとは、アカウントIDとパスワードで行政サービスにログインできるサービスです。
アカウントを取得するには、印鑑証明と登録印鑑を押印した申請書を郵送しなくてはなりません。アカウント発行までに1~2週間ほどかかるので、余裕を持って準備をすすめましょう。
その後、事業計画を策定して事業計画書を作成し、必要書類とあわせて添付して電子申請を行います。
審査項目
ものづくり補助金が支給される目的は、企業の生産性向上です。
申請書類では、技術面・事業化面・政策面について解説し、具体的に記載することが重要です。3Dプリンターを導入したいなら、それによって自社の生産性や従業員、産業全体にどのような利益をもたらすかをしっかりと記載します。
例えば、3Dプリンターで事業課題を解決できる(技術面)、3Dプリンターで作る製品が優位性や収益性を上げる(事業化面)、適切なマーケティングによってグローバル市場でも差別化が可能(政策面)などです。
加点項目
ものづくり補助金は、審査評価の高い順に採択されます。審査員が事業計画書のどこを見ているかは募集要項に記載されているので、確実に採択されるためにも加点項目を可能な限り満たしておくことが重要です。
加点項目に設定されているのは、成長性加点・政策加点・災害等加点・賃上げ加点等。3Dプリンターを使うことで得られる効果を数値化する、必要な経費や賃上げの目標額を示すなど、具体的な数字で表すと採択される可能性を高められます。
参照元:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
公募要領(15次締切分)
(https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/15th/公募要領_15次締切_20230620.pdf)
ものづくり補助金以外の公的支援制度
3Dプリンターを導入する際に利用できる制度は、ものづくり補助金だけではありません。ものづくり補助金と併用できる制度もあるので、合わせて検討してみてください。
先端設備導入計画
経済産業省および中小企業庁では、中小企業の生産性向上を図るため中小企業の新たな設備投資に帯する固定資産税の軽減措置(3年間ゼロ~半減の間で市町村の定める割合で軽減)などを定めた生産性向上特別措置法が施行されました。この特別措置法の中で中小企業が設備投資をすることで労働生産性の向上を図る先端設備導入計画を定め、市区町村の認定を取得すると支援が受けられるとしたのです。
中小企業投資促進税制
この制度では中小企業が生産性向上などを図るため、一定の設備投資を行うと特別償却(30%)もしくは税額控除(7%)の適用を認める措置です。対象事業となるのは製造業に限らず建設業や農業なども含まれており、多くの業種でこの制度の恩恵を受けられるようになっています。業種区分が製造業ではないから利用できないことはないため、3Dプリンターを導入するなら検討してみてください。
中小企業経営強化税制(A類型)
中小企業経営強化税制は中小事業者の設備投資による生産性向上を支援する制度です。中小企業経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づいた新規設備を導入し、指定事業へ用いると即時償却か取得価格の1割を税制控除する優遇が受けられる制度となっています。
設備の目的によって3種類(A類型・B類型・C類型)に分かれています。A型類は生産性向上設備、B型類は収益力強化設備、C型類はデジタル設備化の3種類です。3DプリンターはA類型に区分されます。この導入する設備は必ずしも新しいモデルである必要はありません。中小企業投資促進税制よりも高い優遇制度なので対象となる事業者はこちらも検討してみる価値があるでしょう。
※参照元(2020年11月調査時点):ものづくり補助事業公式ホームページ(http://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html)
公募要項(http://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/4th/reiwakoubo_1016.pdf)
リコー公式サイト「ものづくり補助金を活用した3Dプリンターの導入」(https://www.ricoh.co.jp/3dp/support/subsidy/)
よくある質問
Q1
ものづくり補助金で3Dプリンターを導入する場合、企業規模と補助上限はどう確認しますか?
A
2026年9月時点、従来の「ものづくり補助金」は2026年5月で公募終了と公式に案内されています。そのため、過去の公募回の企業規模や補助上限を、現在申し込める条件として扱うことはできません。
今後利用できる制度を検討する際は、正式な制度名と公募状況を先に確認し、対象事業者・経費・補助率をその回の公募要領で確認します。3Dプリンターの見積もりを取る前に、導入目的と期待する成果を整理しておくと、制度の対象になるか判断しやすくなります。
Q2
補助金の事業計画には、3Dプリンターの性能以外に何を書きますか?
A
導入で解決する業務上の課題、対象製品、従来の工程、改善後の生産性や付加価値を説明します。過去の採択例の文章を流用するより、例えば外注試作の納期と費用を基準値に置き、導入後の改善目標を示す方が事業の内容を伝えられます。賃上げなどの基本要件や数値目標は公募回で定められるため、最新要領に合わせて計画します。
試作時間や外注費など、現状の実績を先に測っておくと効果を具体的に示せます。
Q3
採択を目指す事業計画で、効果をどう示せばよいですか?
A
『高性能な機種を買う』だけでは、事業の効果は伝わりにくいでしょう。例えば対象部品の現行の外注費・納期・年間試作数を示し、導入後に何がどれだけ変わるかを数字で説明します。過去の採択例をそのまま流用しても、自社の課題を示したことにはなりません。
見積もりと試作結果を根拠に、増やせる試作回数や販売までの期間、付加価値へのつながりを示します。審査項目と加点条件は、申請する制度の当該公募要領で確認してください。
Q4
申請準備は、機種選定が終わってから始めても間に合いますか?
A
現在の「ものづくり補助金」は公募終了と案内されているため、同じ名称の申請を前提に機種購入の予定を立てないでください。今後別の公募や制度を利用するなら、制度名、受付期間、対象経費、発注可能な時期を最初に確認します。
申請できる制度が見つかった場合は、事業計画、見積もり、電子申請の準備を締切から逆算します。発注や支払いの順序を誤ると対象外になる場合があるため、公募要領と交付手続の条件を先に確認します。
Q5
ものづくり補助金以外の支援制度と併用できますか?
A
別の補助金や税制を検討できる場合がありますが、同じ経費への重複適用や併用条件は制度ごとに異なります。例えば本体と付帯設備を別々の制度で扱う場合でも、経費の区分と対象期間が重ならないか確認します。併用可否は制度名だけでは決まりません。対象設備、申請時期、必要な認定、会計処理を各制度の最新要件で確認してください。
複数制度を比較するときは、受けられる額だけでなく、申請と報告の負担も考慮します。
Q6
3Dプリンターは税制優遇の対象になりますか?
A
装置を購入しただけで自動的に優遇されるわけではありません。例えば事前認定が条件の制度では、先に発注した装置が対象外になることがあります。見積もり、認定、発注の順序を購入前に確認します。制度ごとに対象者、設備要件、事前の計画認定、取得時期などが定められています。
候補機の仕様と導入計画を整理し、申請前に最新の制度要件と税務上の扱いを確認して判断してください。