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3D Systems社の3Dプリンター、ProJet2500/2500Wを調査しました。ProJet2500と2500Wの造形方式や、どのような製造現場に向いているかについて紹介します。オフィスでも使用できるスマートな3Dプリンタですので、ぜひ検討してみてください。
ProJet2500/2500Wは、どちらもマテリアルジェッティング方式を採用した3Dプリンターです。マテリアルジェッティングとは、家庭用プリンタでも使用されているインクジェット方式と近い仕組みで、樹脂を吹き付けた後に紫外線を当てて硬化させます。そして、樹脂を積層することで形状を成形していく方式です。
ProJet2500/2500Wの特徴として、オフィスに設置できるコンパクトなサイズや価格帯が挙げられます。どちらもサイズは1120×740×1070mmですので、産業用3Dプリンターと比較して小さくオフィスに設置可能です。また、造形サイズは200mm前後となっているので、手のひらを超えるサイズの造形にも対応しています。価格帯は500~1000万円と価格で設定されているので導入しやすいです。
ProJet2500/2500Wは、アクセサリなど家庭用の3Dプリンタと違い、工業用製品の試作品にも活用できる高精度加工が魅力的です。また、高精度加工なだけでなく、サポート材の除去機能も優れています。ProJet2500の場合は、3Dプリンタ内で発生させた温風でサポート材を溶かしているので、あとは水で軽く洗浄すれば完成品として使用可能です。
さらにProJet2500Wの場合は、超音波洗浄機でサポート材を取る方法を採用しています。超音波洗浄機の場合も製品を取り出した後に、軽く洗浄すれば完成品として使用可能ですので手間がかかりません。
ProJet2500と2500Wは、マテリアルジェッティング方式ですので滑らかな表面や高精度加工に対応しています。また、ProJet2500の場合はアクリル樹脂を材料としていて、ProJet2500Wは鋳造用ワックスを材料として積層しながら造形可能です。
鋳造用ワックスは、強度の高さや複雑形状も造形できるなど工業用製品のパーツに向いています。また、サイズがコンパクトということもあり、オフィスで試作パーツを成形・確認したい場合におすすめです。
ProJet2500/2500Wの具体的な導入事例は見当たりませんが、鋳造用ワックスを材料にした高精度加工も可能です。精度が必要な試作パーツ造形に向いているので、国内の生産・開発現場で用いられることも期待できます。
会社名 | 株式会社iGUAZU(イグアス) |
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所在地 | 神奈川県川崎市幸区堀川町580 ソリッドスクエア西館21F |
近年、製造品の多様化に伴い、3Dプリンターに求められる機能性においても、性能が重視されることがポイントとなってきています。
ここでは、500万円未満のミドルクラスでありながら、高精細、高強度、短納期で造形できる3Dプリンターをそれぞれ紹介します。各製品の特徴に加えてショールーム情報もまとめました。
製品名 | 積層ピッチ | 最大造形サイズ (W×D×H) |
造形方式 | 材料などの特徴 |
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アジリスタ [キーエンス] |
0.015mm~ | 297mm×210mm×200mm | インクジェット方式 |
アジリスタは、国産の3Dプリンターでは数少ないインクジェット方式を採用し、積層ピッチ0.015mmの高精細造形を実現。水溶性のサポート材の為、細部までしっかりと造形でき、部品の組付けまでできる精度を誇ります。 使用可能な材料はUV硬化アクリル樹脂とシリコーンゴム。 樹脂はアクリルに少量のウレタンを配合し、靭性を持たせているため、ネジを締めても割れないことが特徴です。 |
Mark Two [Markforged] |
0.1mm~0.2mm | 350mm×132mmx154mm | 熱溶解積層方式+ 連続フィラメント方式 |
Mark Twoは、Markforged独自のカーボンファイバー連続繊維を使用できる方式が採用されています。 これは、造形物の内部にカーボンファイバーで骨組みを組成しながら形作っていく方式です。 これにより、高強度の造形が可能になり、製造工程で使う治具や工具、より強度が求められる部品の製造を行うことができます。 |
G-ZERO [グーデンベルグ] |
0.05〜0.250mm | 250mmx210mmx200mm | 熱溶解積層方式 |
G-ZEROは、最大500mm/sというスピーディな造形ができます。 短時間で造形が可能になり、生産性が向上します。 高速で動くヘッドの振動を抑える技術も搭載し、ハイスピードながら安定感のある造形ができます。 |
■選定条件
アジリスタ[キーエンス]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高精細」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、インクジェット方式を採用し、積層ピッチが最小の製品として選出
Mark Two[Markforged]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 強度」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、カーボン素材を使用できるもので、唯一、熱溶解積層方式+連続フィラメント方式を採用している製品として選出
G-ZERO[グーテンベルク]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高速」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、造形速度が最速の製品として選出しました。