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その7.シート積層法
用途別3Dプリンター3選を
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この記事でわかること
- シート積層法の仕組みと、「積層製造方式」「超音波結合方式」の2つの種類
- 紙や金属など多様な素材に対応し、ランニングコストが安くフルカラー造形も可能なメリット
- 中空構造に不向きで材料ロスが生じやすいというデメリットと、代表的な3Dプリンター機種
積層造形法の一つ、シート積層法について紹介。メリットやデメリットを調べました。
シート積層法とは
シート積層法は、薄いシート上の素材を何枚も重ねていき、造形したい形にあわせて輪郭をカットしていくという、積層造形のなかでも典型的な方式の一つです。
シート積層法の最大の特徴は使用できる素材の種類が豊富である点にあり、使用する素材によって二つの方式に分けられます。
積層製造方式
PVC(ポリ塩化ビニル)、紙、プラスチックといった安価な素材のシートを用い、シートとシートの間に特殊な接着剤を塗布することで接合していくものを積層製造方式(Laminated Object Manufacturing)といい、ラミネート積層法とも呼ばれています。
特にPVCは高強度で耐候性・耐水性にも優れていることから、強度の高い造形物の製造に向いていますし、加熱やUV光照射といった仕組みが不要なため、造形スピードに優れています。
また、紙であれば事前に着色することでフルカラー化も可能となっています。
超音波結合方式
同じシート積層法でも、超音波結合方式(Ultrasonic Consolidation)は薄い金属のシートを用い、超音波によって接合していきます。
異なる複数の金属を組み合わせたり、セラミックス・ホウ素・炭化ケイ素繊維・ステンレスメッシュといった補強材の混合も可能。
より複雑な金属部品の製造が可能であり、航空宇宙産業などでの造形物の製造といった期待も高まっています。
シート積層法のメリット
PVC(ポリ塩化ビニル)、紙、プラスチック、金属など、シート状になっていればさまざまな素材に対応。
材料費などのランニングコストも比較的安く済み、様々な色の紙やPVCのシートを重ねることで、精度の高いプロトタイプを製造できます。
また、シートを重ねるというシンプルな造形方法のため、素材そのものの化学反応を伴うような工程がなく、製作の幅が広いことから大きめの造形物を作ることにも適している他、積層解像度の平均が0.2mm程度(積層ピッチ=シートの厚さ)となっており、比較的滑らかな表現も可能となっています。
シート積層法のデメリット
シートを幾重にも積み重ねた後に輪郭をカットして造形していくことから、中空構造の造形に向いておらず、また小さい部品の製造およびロット数が少ない場合、材料ロスが多くなることが懸念されます。
また、紙を使用する場合、吸湿によって造形後に形状が変化する可能性もあります。
シート積層法の3Dプリンター
シート積層法は「積層製造方式」と「超音波結合方式」がありますので、それぞれの3Dプリンターをご紹介いたします。
SD300 Printer
積層製造方式を開発したとされるHelisys社の3Dプリンターですが、現在は後継機関であるCubic Technologies社が販売を行なっています。
Mcor IRIS
アイルランドに本社を構えるMcor Technologies社が手がける、紙を使った積層製造方式の3Dプリンター。材料費が安く、CMYKカートリッジによる100万色以上のフルカラー造形物にも対応しています。
SonicLayer 1200
アメリカのFabrisonic社が提供する「SonicLayer 1200」は、金属シートを使用する超音波結合方式の3Dプリンターです。同社の従来製品よりも小型で、切削機能も兼ね備えています。
まとめ
プロトタイプの製作に適した造形方式
シート積層法は比較的安価な複数の素材に対応していることから、ランニングコストの面で強みがある他、異なる金属などを組み合わせる必要がある際に、その特徴を発揮してくれるでしょう。
光造形方式やレーザー焼結法には劣るものの、精巧なプロトタイプの製作に適している造形方式であり、低コストでの3Dプリンター導入を検討している方におすすめです。
よくある質問
Q1
シート積層法で大型の模型を作る場合、材料と仕上げで何が変わりますか?
A
大きな外形を比較的作りやすい方式もありますが、完成後の表面や強度はシート材と接合方法で変わります。紙や樹脂の積層模型と、金属箔を接合する部品では目的も後工程も異なります。例えばプレゼン用模型は見せる面の段差や色、持ち運ぶ模型は角の欠けやすさも確認が必要です。
用途と扱い方を決め、同じ材料・仕上げで重要な面を含む小さな試作を先に作ります。仕上げ後の寸法と表面を見てから大型化を判断してください。
Q2
紙や樹脂の積層と金属の超音波接合は、どう違いますか?
A
紙や樹脂のシートは接着剤や熱で積層する方法があり、金属の薄板は超音波による固相接合を使う方式があります。金属の超音波接合は溶かさずに接合する方式ですが、層間の品質と後加工の条件を確認する必要があります。材料だけでなく、接合部の強度、輪郭加工、後仕上げが異なります。自社部品に必要な材料と寸法を決め、完成状態の物性と精度で比較してください。
Q3
シート積層法は、試作品を低コストで作る方法になりますか?
A
材料や装置、作る数量によっては候補になりますが、常に安いとは限りません。シートの切り捨て部分が多い形状では、材料の単価が安くても総費用が上がります。歩留まりを見ます。シートの未使用部分、切断や仕上げの工数、材料の保管も費用に入ります。代表形状について材料使用量と完成までの時間を見積もり、他方式と比べると判断できます。
Q4
金属シートの超音波接合では、異なる材料を組み合わせられますか?
A
組み合わせられる材料はありますが、すべての金属や補強材を自由に重ねられるわけではありません。異種金属を重ねられる場合でも、接合界面の性質は単一材とは異なります。必要な負荷が界面にかかるなら試験が欠かせません。接合の相性、層間強度、後加工の条件が重要です。候補材料の組み合わせが装置で実績を持つか確認し、必要な荷重と温度で接合部を評価してください。
Q5
シート積層法で作りにくい形状はありますか?
A
層ごとにシートを接合・切断するため、閉じた内部空間や細い流路は加工・除去が難しい場合があります。曲面の内側に不要部分が閉じ込められると、造形後に取り除けないことがあります。断面で除去経路を確認します。シート厚が細部表現に影響し、切り残しや材料ロスも生じます。重要な内部形状を含む小さな試作で、加工後に取り出せるかを確認します。
Q6
シート積層機の旧機種を参考にするとき、何に注意しますか?
A
過去に販売された機種が現在も購入・保守できるとは限りません。古い機種の紹介は方式の理解には役立ちますが、購入できることの証拠にはなりません。保守と材料の供給を現行情報で見ます。採用を検討するなら、現行の装置、対応シート材、消耗品、保守窓口を確認します。機種名より、作りたい部品の材料・サイズ・仕上がりを満たせるかで候補を選んでください。