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CHECK02.どんな材料を使うのか

500万円未満の高性能な業務用3Dプリンター特集

業務用3Dプリンターを選ぶ基準のひとつである、使用する材料について調べました。

業務用3Dプリンターの材料は何がある?

業務用3Dプリンターを選ぶ基準のひとつとして、材料が挙げられます。代表的な材料に表面光沢に優れていて着色もできる「ABS樹脂」と、弾力性がなく硬いため大型の造形物に向いている「PLA樹脂」がありますが、最近ではナイロンやポリカーボネート、ゴムやエラストマー材料の熱可塑性ポリウレタン、ペットボトルに使われるPETGなど、さまざまな素材が3Dプリンターで使えるようになっています。 またABS樹脂とPLA樹脂をベースにしたものも開発され、高強度PLA、反りを減らしたABSなども出てきています。

かつて「3Dプリンターは材料が選べない」とよく言われていました。しかし最近ではこの主流の2種類に加えて金属やカーボンといった強度のある材料を使える3Dプリンターも出てきました。そのため試作品の製作として利用されることが多かった一昔前から、今は実用品や最終製品を作るための装置としても3Dプリンターが活躍してきています。

米と欧州の航空機大手2社では、すでに3Dプリンターで作られた部品が航空機に組み込まれており、砂糖を材料にしてお菓子を作ったり、歯科治療用のセラミックをプリントしたりなど、技術の発展と材料の広がりが3Dプリンターの可能性を大きく向上させています。

使いたい材料を扱える3Dプリンターを選ぶ

切削加工なら削れるものであれば何でも材料が選べますし、射出成形も自分で選んだ樹脂を使うことができます。しかし3Dプリンターの場合は、メーカーが提供している材料を使うこととなるため、提供されていない自分の好きな材料で自由に造形するということはできません。

そのため自分が使いたい材料が決まっている場合は、その材料が使えるモデルであるかどうかをしっかり確認しておくことが大切です。使いたい材料が使用できないモデルを選んでしまったら、導入する意味がありません。

どのような目的かも合わせて考える

材料を考える場合、どのような目的で3Dプリンターを使うのかも合わせて考える必要があります。試作品のように形を確認することが目的の造形なら、材料にこだわる必要性は低くなります。反対に実際に部品として使いたいという目的があるなら、材料の強度や表面の仕上がりなども確認したいところです。

3Dプリンターで何ができるか?

通常、プリンターと言うと、パソコンで入力された文字情報や画像情報などを紙などの媒体に出力する、というのが一般的であり、いわゆる2Dです。しかし3Dプリンタは立体物である3Dのものを出力できるという、かつては考えられないもので、一般の家庭用3Dプリンタから業務用まで広く普及してきました。将来的には数千億、数兆円規模の産業になると言われているビジネスであり、発展が期待される産業分野です。

使える素材

2Dプリンターでも厚紙が使えなかったり、光沢紙にうまく移らなかったり、プリンターの機種によって使える紙が違いました。3Dプリンターも同様に、機種によって使用できる材料が違いますし、目的とする造形物によっても使うべき材料は違ってきます。また3Dプリンターの場合は、紫外線を当てることで少しずつ硬化させた後に熱で溶解させたり、レーザーを照射して焼くことで形成するなど、材料によってプリントする工程も違ってきます。プリンターの機種によって材料の向き不向きがありますから、それぞれの材料の特徴を知っておけばプリンター選びにも役立てることができるのではないでしょうか。

何の材料で何を作る

材料を選ぶのはいいですが、その材料選びによって作れるものが当然違います。まず何を作りたいかを決めることから始めましょう。3Dプリンターは現在でもそうですが、業務用として企業の製品試作で使用したり、医療用の試作品、工業系の建築模型など、様々な業界で使われています。3Dプリンターは3DCGや3DCADなどと言われるソフトウェアで作られたデータをもとに作られることが多いです。CADなどは聞いたことがある人もいると思います。建築用の設計図や模型を作る時、服飾のデザインや家具の製作に用いられるものです。ここからは3Dプリンターではどんな材料が使えるか、見ていきましょう。

ゴム

ゴム素材できたものは様々ありますが、一昔前のキン肉マン消しゴム、おもちゃ屋のガチャガチャで出てくる商品やペットボトルのオマケだったり、フィギュアやキーホルダーなどにもゴムでできた製品は様々あります。家電や家具の一部に滑り止めとしてゴムか使われていたりもします。

ゴムライク素材と呼ばれ、幅広い用途に使われ、柔らかさを必要とする場合に用いられます。質感としては滑らかで、価格も安めです。半透明の色が多く、ここから着色していきます。

光造形法でプリントをし、造形方法はポリジェット方式のため滑らかな表面になります。デメリットとしては、柔らかいため、あまりに細かったり、長さがあるものは形成できない場合があります。多少は大丈夫ですが、切れる可能性もあり、執拗に曲げたり、強くひねったりすると壊れ、熱に弱いため高温状態の場所などにあると、形状が変化したり、原型がなくなることもあります。そのために材料によって硬度も変えられるので、安心ではあります。

ナイロン

ナイロンもしくは、ポリアミドやPAなどと呼ばれます。あまり馴染みのない素材かもしれませんが、聞いたことはあるでしょう。インテリアだったり、模型だったり、車のパーツにも使われます。強度あり、複雑な構造でも対応できるため、人気な素材です。しかも値段も安く、かなり凡庸性が高い素材になります。素材の特徴として表面がザラザラしています。

デザイン性の高い製品、強度が必要な製品などに適しています。なぜなら、強度に加え柔軟性もあり、熱に強いという特徴もあるからです。形成方法としては、SLS方式という、粉状の固まった層を積み重ね、レーザーで焼き固めていく方法になります。

素材も安く強度もあり、作れる製品も多いことからメリットしかないように思えますが、対応するプリンターが高いというデメリットがあるので、元がとれるのかよく吟味してプリンターを購入しましょう。

石膏

石膏は美大生などがよく使うイメージなどありますが、あながち間違ってもなくクリエイティブなフィギュアなどのキャラクター製品などの用いられることが圧倒的に高い素材です。この素材の特徴としては、フルカラーで様々な色を表現できます。他の素材は単色などの場合も多い中、こういったところでフィギュアや模型などに用いられます。

費用も安く、また造形時間が短いのが特徴です。展示などの用途が多いため、あまり強くひねったり、ひどく扱うことがないので良いのですが、強度が弱いというデメリットはそれほど気にすることではないでしょう。凹凸があるものに関しては、経年劣化で色が剥げ落ちたりする場合もあります。形成方式は、粉状の石膏を水やインクで固めていきます。この材料を使うのはクリエティブな作品作りなどに向いているので、石膏はどうしても外せないという方はそれに対応したプリンターを選ばなくてはなりません。

アクリル

アクリルパネルやアクリル版など聞いたことや使ったことがある人もいるのではないでしょうか。非常に薄い上に丈夫で、加工もできる素材です。2Dだけじゃなく、3Dにも対応しうる素材で、3Dプリントの素材としては一番ポピュラーとも言えます。

細かい造形にも向いているため、精密機器や部品と実用的な製品に用いられることが多い素材です。表面がなめらかで細やかな造形にも向いていますが、あまりにも細かったりするのは厳しい面もあります。透明性もあり、弾力性や着色にも優れているため用いられることが多い材料です。

デメリットとしては、耐久性が少し足りていないことや、熱などに弱い面もあります。また、対応する機種も高価な場合も多いので、導入を検討する際は様々な機種を比較してみましょう。

ガラス

ガラスというと食器やグラスやテーブルなど身の回りに用いられていますが、それも3Dプリンターで可能なの?というと結論を言えば可能です。しかしながら最近開発されたため、まだ広く知れ渡っておらず、実際に使われるのも少ないのが現状です。ガラスというと職人さんが熱を駆使して暑い中作るイメージもありますが、プリンターでもできてしまう時代になりました。

もちろん使われる際も制限があり、デザイン性の高いものや細長い形状のものは形成できませんし、非常に壊れやすいので形成途中に失敗する恐れもあるので、デザインをする際はそのあたりもよく考え、プリンターとの調整をしなければなりません。

ABS

一般にプラスチックと呼ぶものはABS樹脂です。強度と粘着性があり、塗装などの後加工もしやすいです。家庭用の3Dプリンターでよく使われ、おもちゃ、日用品、雑貨などの造形に適しています。アルカリや酸には耐久性がありますが、熱に弱いので日光の当たる野外のものの造形には不向きです。

PLA

ジャガイモやトウモロコシからデンプンをとって素材にしたものです。植物由来なので出力しても樹脂のにおいがありません。ABS樹脂より低い温度で溶けるので変形や歪みがありませんが、熱に弱いので耐久性があまり高くありません。弾力生がないので加工が難しく、塗料もうまくのりません。しかし硬く粘り強いので大型造形物に適しています。

ポリカーボネート

通常のプラスチックより耐熱性にすぐれ高強度なので、自動車部品や精密機器などに使用されています。ポリカーボネートはこれまで切削や金型でしか利用できませんでしたが、3Dプリンターの材料として使われるようになり、ものづくりの幅も広くなりました。

ポリプロピレン(PP)

工業製品に多く使われているプラスチックです。強度がありながら柔軟、折り曲げに対する耐性が高いことからバケツなどの容器、文房具など筐体、自動車用のパーツ、家電製品など広い分野で使われています。光造形3Dプリンターの材料として使うことで、積層跡が目立たない滑らかな仕上がりとなり、プロトタイピング段階から高い精度の試作品を作ることが可能です。

ワックス

ジュエリー製造に使われるロストワックス鋳造の材料として使われます。ロストワックス鋳造はロウ型を砂型で挟んで加熱し、ロウを溶かした後の空洞に金属を流しこんで作る技術ですが、3Dプリンターではワックス樹脂を使ってロウ型を直接作ることができます。3Dプリンターを使うことでロストワックス鋳造が飛躍的に効率化され造形の精度も高めることができます。

木製の素材になり、プリンターで出力するというよりは削るという感じになるかもしれませんが、実際に木製品に対応したプリンターもあります。ただし、これも開発黎明期のため、対応するプリンターも少ないので、かなり限定的になります。

食材

お菓子までプリンターで作る時代?そんなSFのようなことが起こるはずがないと思うかもしれませんが、もう実用化が進んでいます。フード3Dプリンターとも呼ばれ、クッキーやパン、ピザやあんこ素材など様々なお菓子をデザインすることができます。ペースト状の食材をノズルから押し出して積層する方式で基本的に樹脂用3Dプリンターと同じ仕組みです。

実際に導入を検討しているお菓子業者もあり、家庭にあったらかなり楽しくなりそうですが、大きさや費用面などを考えるとまだまだ難しそうです。

どんな材料で何を作りたいのか考えましょう

このように3Dプリンターには様々な材料を使うことができます。ここにあげていない材料も多くあり、実際にプリンターを購入する際は、何の素材を使って何を作りたいのか、考慮した上で購入してください。

3Dプリンターイメージ
500万円未満の高性能な3Dプリンター特集をチェック
       
3Dプリンターイメージ
           

近年の製造品の精緻化に伴い、500万円未満であっても、ハイエンドモデルに匹敵するような性能を備えたミドルクラスの3Dプリンターが、続々登場しています。
ここでは、500万円未満でありながら、高精細、高強度、短納期で造形できる3Dプリンターをそれぞれ紹介します。

       

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SPECIAL

500万円未満の
高性能な業務用3Dプリンター特集

近年、製造品の多様化に伴い、3Dプリンターに求められる機能性においても、性能が重視されることがポイントとなってきています。

ここでは、500万円未満のミドルクラスでありながら、高精細高強度短納期で造形できる3Dプリンターをそれぞれ紹介します。各製品の特徴に加えてショールーム情報もまとめました。

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製品名 積層ピッチ 最大造形サイズ
(W×D×H)
造形方式 材料などの特徴
アジリスタ
[キーエンス]

アジリスタ[キーエンス]の製品

引用元:キーエンス公式HP
https://www.keyence.co.jp/products/3d-printers/3d-printers/

公式HPで
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0.015mm~ 297mm×210mm×200mm インクジェット方式

アジリスタは、国産の3Dプリンターでは数少ないインクジェット方式を採用し、積層ピッチ0.015mmの高精細造形を実現。水溶性のサポート材の為、細部までしっかりと造形でき、部品の組付けまでできる精度を誇ります。

使用可能な材料はUV硬化アクリル樹脂とシリコーンゴム。

樹脂はアクリルに少量のウレタンを配合し、靭性を持たせているため、ネジを締めても割れないことが特徴です。

Mark Two
[Markforged]

Mark Twoの製品画像

引用元:Markforged公式HP:
https://markforged.com/jp/3d-printers

製品の特徴を
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0.1mm~0.2mm 350mm×132mmx154mm 熱溶解積層方式+
連続フィラメント方式

Mark Twoは、Markforged独自のカーボンファイバー連続繊維を使用できる方式が採用されています。

これは、造形物の内部にカーボンファイバーで骨組みを組成しながら形作っていく方式です。

これにより、高強度の造形が可能になり、製造工程で使う治具や工具、より強度が求められる部品の製造を行うことができます。

G-ZERO
[グーデンベルグ]

G-ZEROの製品

引用元:PR TIMES公式HP:GUTENBERG社製 プロフェッショナル3Dプリンター G-ZEROの販売開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000057289.html

公式HPで
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詳細を見る

0.05〜0.250mm 250mmx210mmx200mm 熱溶解積層方式

G-ZEROは、最大500mm/sというスピーディな造形ができます

短時間で造形が可能になり、生産性が向上します。

高速で動くヘッドの振動を抑える技術も搭載し、ハイスピードながら安定感のある造形ができます。

■選定条件
アジリスタ[キーエンス]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高精細」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、インクジェット方式を採用し、積層ピッチが最小の製品として選出
Mark Two[Markforged]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 強度」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、カーボン素材を使用できるもので、唯一、熱溶解積層方式+連続フィラメント方式を採用している製品として選出
G-ZERO[グーテンベルク]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高速」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、造形速度が最速の製品として選出しました。