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3Dプリンターでの人工骨造形
用途別3Dプリンター3選を
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この記事でわかること
- 医療分野で3Dプリンターによる人工骨造形が期待されている背景とメリット
- 従来素材の副作用や骨置換性など、人工骨造形における問題点と課題
- 高強度な新造形手法や手術用骨モデルなど、最新の活用事例と運用の疑問点
3Dプリンターで人工骨造形が期待されている背景
現在、整形外科手術や頭頸部手術などにおいて、骨の欠損に関する治療を行う際には人工骨が多く使用されています。
このような治療を行う場合に使用される人工骨は、ブロックや顆粒、セメントといったようにさまざまなタイプのものが販売されており、それぞれに特徴があります。例えば顆粒型の場合は骨置換性(生体骨への置換が促される性質)に優れているものの強度が低いという課題があります。また、セメント型は骨置換性では劣るものの、変形が自由であるとともに強度が高いといった特徴を持っています。
このように人工骨のタイプによってさまざまな特徴があることから対象となる部位によって使い分けが必要となるものの、フレキシブルな対応は難しいとされてきました。こういった背景から、3Dプリンターを使った人工骨の造形が注目を集めている状況です。
3Dプリンターで人工骨造形を行うメリット
3Dプリンターの特徴として、「オーダーメイド品や小ロット品との相性が良い」という点が挙げられます。造形の自由度が高く複雑な形状にも対応できるため、3Dプリンターを使用した人工骨造形を行った場合にはそれぞれの患者に合わせたオーダーメイドの人工骨が製作できるといった点がメリットといえるでしょう。
さらに、3Dプリンターは必要な時にすぐに製作ができるといった点もメリットです。もし外注した場合には、打ち合わせ、製造、配送といったように各段階で時間がかかりますが、3Dプリンターを使用した場合には欲しい時に手に入るといった面もあります。
3Dプリンターで人工骨造形を作る問題点と課題
ここまでご紹介してきた通り、3Dプリンターによる人工骨造形が注目されている状態となっていますが、これまで使用されてきた材料の場合、その素材の特性から骨置換性がないという面がありました。この点から、治療後は体の中に残り続けるため、金属アレルギーなどの副作用について懸念されてきました。
またそのほかの素材で作成された人工骨においても、後処理工程が必要といった点や強度の問題、骨置換性が乏しいなどの課題がありました。このような点から、骨置換性を持ち、さらに高い強度を持つ人工骨の造形について研究が進められてきたということになります。
3Dプリンターで人工骨造形を行った活用事例
3Dプリンターを使用した人工骨造形については、2018年に理化学研究所により、高い強度と骨置換性を持つ人工骨製造の手法を開発したことが発表されています。この手法はインクジェット装置により粉末材料に結合剤を塗布し、固着させて積層する3DプリンターであるBJ(Binder Jetting)方式をベースとしており、リン酸カルシウムの粉末層にカルシウムと効果反応するインクを塗布することにより造形を行います。こちらの方法で造形された人工骨は、3Dプリントしてすぐに使える点に加え、高い強度と骨置換性を持っているという点がメリットとなっています。
また人工骨そのものの造形というわけではありませんが、整形外科分野における人工関節再置換術でも3Dプリンターが活用されています。手術を行う前に3Dプリンターを使って患者の骨の状態を実物大の立体的な模型で再現することによって骨の形状を把握でき、手術計画を立てやすくなります。さらに実物大骨モデルを使って手術の予行演習を行える、患者への手術説明もスムーズに行えるといったメリットが得られます。また、この実物大骨モデルは樹脂ではなく石膏で造形することによって、骨の薄い部分など細かい部分の再現性も高くなるなどのメリットが得られます。
3Dプリンターで人工骨造形する際によくある質問
3Dプリンタで人工骨を造形する際にはどのような準備が必要ですか?
3Dプリンターで造形を行う場合にはまず3Dデータが必要となります。3DCADや3DCGといったソフトでのデザインを行います。さらに、専用ソフトにより3Dプリンタで読み込み可能なデータに変換を行います。
3Dプリンターを運用する際のコストは?
機器の購入費用に加えて、3Dプリントを行う際の材料代、プリンターを稼働させるための電気代などが必要となります。また、安定して稼働させるためには保守費用についても考慮に入れておくことが必要といえるでしょう。
よくある質問
Q1
患者に合わせた人工骨で、3Dプリントが期待される理由は何ですか?
A
患者ごとの欠損形状に合わせた設計や、内部の多孔質構造を検討しやすい点にあります。例えば欠損部へ合わせる接触面と、骨が入り込むことを狙う内部構造では設計の役割が違います。両方を評価できるよう、画像データから完成品までの寸法変化も確認します。ただし、形が合うだけでは治療に使えません。
必要な強度、生体内での振る舞い、滅菌、製造品質を用途ごとに評価する必要があります。研究例と実際に使用できる医療機器は分けて見ます。
Q2
人工骨の造形で、形状以外にどの課題を検証しますか?
A
荷重を受ける強度、内部構造の再現、材料の安全性、残留物の除去、滅菌後の性能などを確認します。多孔質の内部は洗浄や未固化材料の除去が難しい場合があります。孔を設計できることと、安全に残留物を除去できることを分けて確認します。患者ごとの設計では元になる画像データと完成品の照合も重要です。
用途に必要な性能と評価方法を先に定め、材料・装置・後処理を一つの工程として検証します。
Q3
高強度で骨との結合も期待できる人工骨は、材料選定だけで実現できますか?
A
材料名だけでは判断できません。骨との結合を示す試験があっても、使用部位の荷重に耐えるとは限りません。強度評価と生体との反応を、同じ用途・形状の条件で確認します。孔の大きさや連結、部品の形、造形後の表面、使用部位の荷重が影響します。
研究成果を見る際は、どの条件で強度と骨との反応を評価したか、臨床使用の段階にあるかを確認してください。個別の患者へ適用する判断は医療機器としての評価に基づきます。
Q4
医療用の人工骨を造形する前に、どのデータと体制が必要ですか?
A
画像データから必要な形状を設計し、重要寸法と接触面を確認します。患者の画像から形状を作る際は、画像の撮影条件と領域抽出の誤差も管理します。設計寸法だけ正しくても、元データが不適切なら適合を判断できません。さらに、造形条件、後処理、洗浄・滅菌、検査の手順を決め、完成品を追跡できる記録が必要です。
試作品と実際に使用する医療機器では求められる管理が異なるため、用途を明確にして工程を設計します。
Q5
人工骨造形の費用は、本体と材料費だけで見積もれますか?
A
本体と材料費だけでは見積もれません。患者ごとの画像処理と設計、適合を確かめる試作、完成品の検査、洗浄・滅菌、製造記録まで費用に含めます。特に少数の個別製作では、形状確認や記録にかかる時間を多数の製品へ分散できません。
まず試作用の模型か実際に使用する医療機器かを分け、各工程の担当者と所要時間を洗い出します。そのうえで、材料・後処理・品質管理を含む一件当たりの費用を試算します。