公開日:|更新日:
EnvisionTEC社のVIDA/VIDA HDは、独自のDLP方式により、高精細で滑らかな造形品質を実現している3Dプリンター。EnvisionTECではコンパクトな3Dプリンターを多く開発しており、その中でも高品質・低価格を実現したエントリーモデルです。
低価格ながら作りだされるパーツは高品質、高精細を可能とし、小型精密部品の試作などに適しています。ワンランク上のデスクトップ型光造形機器の導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
VIDA/VIDA HDは、DLP露光方式という、UV硬化液体樹脂にLED光線を当てながら一層ずつ造形を行う造形方法を採用しています。プロジェクターで一気にXY方向へとLED光線を照射させるため、素早く液体樹脂を硬化させることが可能です。
レーザー露光方式よりも速く、高精度・高精細な部品造形を行うことができます。 また、対応可能なマテリアルも豊富で、それぞれの用途に合った各種マテリアルを選択すれば、さまざまな分野で高品質な造形技術を発揮し活躍してくれるでしょう。
マテリアルは主にアクリルやエポキシなどがあり、透明なものを含め多様な材料特性を持つ樹脂を利用することができます。
EnvisionTECでは1999年より一貫して光造形機の研究開発に専念してきた企業です。今では本拠地であるドイツからアメリカ、イギリス、カナダやウクライナにまで支社を構えています。
一貫した研究開発の末、デジタルライトプロセシング(DLP)技術を小さなボディに凝縮。このDLPによる造形方式にEnvisionTEC独自の技術を加えた、高精細かつ滑らかな造形品質を手頃な価格で実現しています。
EnvisionTECでは2つの特許技術を組み合わせて、DLP方式の課題であった表面のギザつきを10年以上も前に解決。造形後の加工は必要ないほど、積層痕の少ないなめらかな表面仕上げを実現しています。
一般的にDLP露光方式は造形スピードが速いことがメリットとしてあげられますが、樹脂を硬化させる際に体積ピクセルの境界線に沿ってわずかなギザつきが発生してしまいます。これは造形サイズが大きくなるほどより顕著に表れてしまい、表面精度に関しては課題が残る方式でした。
EnvisionTECでは10年以上も前に、この表面に残るギザつきを解決することに成功しています。まず「ERMテクノロジー」では、プロジェクター内部の金属板のシフト制御を行うことで、プロジェクターの光を微細レベルで正確にシフトしギザつきを抑えます。次に、「グレーズケーリング技術」では、プロジェクター光量が持つ256諧調を利用し、ひとつひとつのピクセルの色調を制御することで積層痕を抑えているのです。
この2つの技術を組合せることで表面のギザつきを抑え、高品質でなめらかな造形物を作ることができるようになっています。「ERMテクノロジー」と「グレースケーリング技術」の2つの独自技術を3Dプリンターに適用することで、DLP方式の造形スピードを保ちながら、正確でなめらかな表面の造形を実現したのです。この2つの独自技術は特許を取得しており、高い精度となめらかな表面が求められる歯科・補聴器業界では大きなシェアを占めています。
シンプルな機構でマテリアルのトレイの取り外しが簡単に行えるため、多彩なマテリアルを簡単に切り替えて造形を行うことができます。また、造形後はビルドプラットフォームから簡単に造形物を外すことができ、サポート材の除去も短時間で簡単です。さらに、サポート材も少ない量で造形することができるので、ランニングコストを抑えながら運用することができます。試作品の作成はトライアンドエラーの繰り返しです。そのため、ランニングコストが抑えられるかは、重要なポイントとなってきます。
2つの特許取得技術を駆使し、作業スピードと高品質を実現しているEnvisionTEC社のVIDA/VIDA HD。積層ピッチは最小0.025mmと高精細で、後加工を必要としない積層痕の少ない滑らかな表面仕上げを実現しています。
その結果、非常に高精度のDLP部品を造形することに成功し、現在も3Dプリンター業界をリードしています。Z解像度(積層ピッチ)は最小0.025mmと非常に薄く、繊細な部品にも対応。円滑で精密さが求められる部品の製造においてVIDA/VIDA HDは最大限に力を発揮してくれるでしょう。
この技術を活かし、円滑で高精細さが求められる部品の製造に活躍します。 補聴器や歯科産業など、精度と滑らかな形状が要求される業界ではEnvisionTECは大きなシェアを占めています。また、コンパクトなボディなので、オフィス内での運用にも適しています。
VIDA/VIDA HDの導入実績はありませんでした。
会社名 | リコージャパン株式会社 |
---|---|
所在地 | 東京都港区芝3-8-2 芝公園ファーストビル |
近年、製造品の多様化に伴い、3Dプリンターに求められる機能性においても、性能が重視されることがポイントとなってきています。
ここでは、500万円未満のミドルクラスでありながら、高精細、高強度、短納期で造形できる3Dプリンターをそれぞれ紹介します。各製品の特徴に加えてショールーム情報もまとめました。
製品名 | 積層ピッチ | 最大造形サイズ (W×D×H) |
造形方式 | 材料などの特徴 |
---|---|---|---|---|
アジリスタ [キーエンス] |
0.015mm~ | 297mm×210mm×200mm | インクジェット方式 |
アジリスタは、国産の3Dプリンターでは数少ないインクジェット方式を採用し、積層ピッチ0.015mmの高精細造形を実現。水溶性のサポート材の為、細部までしっかりと造形でき、部品の組付けまでできる精度を誇ります。 使用可能な材料はUV硬化アクリル樹脂とシリコーンゴム。 樹脂はアクリルに少量のウレタンを配合し、靭性を持たせているため、ネジを締めても割れないことが特徴です。 |
Mark Two [Markforged] |
0.1mm~0.2mm | 350mm×132mmx154mm | 熱溶解積層方式+ 連続フィラメント方式 |
Mark Twoは、Markforged独自のカーボンファイバー連続繊維を使用できる方式が採用されています。 これは、造形物の内部にカーボンファイバーで骨組みを組成しながら形作っていく方式です。 これにより、高強度の造形が可能になり、製造工程で使う治具や工具、より強度が求められる部品の製造を行うことができます。 |
G-ZERO [グーデンベルグ] |
0.05〜0.250mm | 250mmx210mmx200mm | 熱溶解積層方式 |
G-ZEROは、最大500mm/sというスピーディな造形ができます。 短時間で造形が可能になり、生産性が向上します。 高速で動くヘッドの振動を抑える技術も搭載し、ハイスピードながら安定感のある造形ができます。 |
■選定条件
アジリスタ[キーエンス]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高精細」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、インクジェット方式を採用し、積層ピッチが最小の製品として選出
Mark Two[Markforged]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 強度」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、カーボン素材を使用できるもので、唯一、熱溶解積層方式+連続フィラメント方式を採用している製品として選出
G-ZERO[グーテンベルク]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高速」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、造形速度が最速の製品として選出しました。