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その2.インクジェット型
用途別3Dプリンター3選を
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この記事でわかること
- インクジェット方式の仕組みと、2つの主要な造形方法(マテリアル・バインダー)の違い
- 高精細でスピーディーな造形、後処理のしやすさといったメリット
- 耐候性の低さや、サポート材に関するコスト・ニオイなどの導入前に知るべきデメリット
インクジェット方式の3Dプリンターについて、メリットとデメリットをまとめます。
インクジェット方式とは
インクジェット方式とは、紙の印刷におけるインクジェットプリンターと同様の原理で、液状の樹脂を噴射させて印刷する造形法式の一つです。インクジェットヘッドがX・Y方向に移動しながら樹脂とサポート材を噴射し、ローラーカッターで1層分の厚みになるように表面を削っていきます。この動作を幾層も繰り返しながら造形物を造りだします。
インクジェット方式で使用される素材は、ABSライクやPPライク、ラバーライクなどです。複数のノズルがあれば素材を複合することもできます。
インクジェット3D造型の「マテリアルジェッティング」と「バインダージェッティング」の違い
高精細で表現力に優れているインクジェットを使った3D造型には、「マテリアルジェッティング」と「バインダージェッティング(粉末固着/接着方式)」の2種類の方法があります。
マテリアルジェッティングでは材料自体をインクジェットヘッドから噴射させて造形をおこないますが、バインダージェッティングではバインダー(結合剤)を粉末に噴射することで造形します。
強みとしてはマテリアルジェッティングが高精細かつ滑らかな造形ができるのに対し、バインダージェッティングでは着色がしやすくフルカラーの造形ができること・造形速度が速いことなどが挙げられます。
マテリアルジェッティングの特徴
マテリアルジェッティングでは樹脂をインクジェットヘッドから噴射し、紫外線で硬化させて一層一層積み上げていく方式をとります。高精細かつ滑らかな造形を得意としており、複数の素材を混ぜて使うことも可能。
複数の素材を混ぜればさまざまな硬度や色を実現できるため、デザイン性や外観を重視する試作品の作成に向いています。ただし強度や耐久性が低く、太陽光にあてることで劣化しやすいデメリットももっています。
バインダージェッティングの特徴
バインダージェッティング(粉末固着/接着方式)では石膏や樹脂、セラミックなどの粉末に光硬化樹脂を結合剤として噴射し硬化させます。結合剤である光硬化樹脂の色を変えれば粉末を簡単に着色できるため、フィギュアの作成などに向いています。また、造形速度が速いこともバインダージェッティングのメリットといえます。
ただ、表面精度が粗いこと、強度が弱い点はマテリアルジェッティングと同様にデメリットといえるでしょう。
インクジェット方式のメリット
積層ピッチが細かく、高精細な造形が可能
インクジェット方式ではインクジェットノズルから微量の樹脂を噴射させます。そのため積層ピッチを細かくでき、最も高精細な造形をすることが可能です。
複数の素材を混ぜることができる
ノズルが複数あるモデルなら、複数の素材を選択したり混ぜたりすることができます。複数の素材を混ぜることで多様な硬度の造形ができたり、さまざまな色の造形ができたりします。
造形スピードが速い
インクジェット方式では塗布した樹脂を紫外線で一気に硬化させることができます。光造形のように樹脂を少しずつ硬化させるのではないため、インクジェット方式は造形スピードが速く、造形物が短時間で完成します。微細な造形と短時間での造形を両立できるというメリットがあるため、さまざまな業種で幅広く導入されています。
後処理がしやすい
積層ピッチが細かいため、造形物の表面が滑らかでほとんど段差がわかりません。そのため、後処理が簡単です。
装置自体は安価に済む
インクジェット方式は比較的装置が安価で済みます。また付随設備も必要ないので、導入コストが抑えられます。
インクジェット方式のデメリット
太陽光での劣化が起こりやすい
インクジェット方式では紫外線硬化性の素材を使うため、太陽光での劣化が起こりやすくなります。太陽光下での使用には向いていません。耐久性が低いため、長期間の使用や力が加わる使用には向いていません。
サポート材を多く使うため、製造コストが高い
サポート材を造形モデルの3倍量使います。そのため消費量が大きく、コストが高くなりがちです。
サポート材のニオイが強く、稼働音も大きい
インクジェット方式の3Dプリンターは、他の方式に比べると装置の稼働音が大きいといった特徴があります。またサポート材のニオイも強くなります。
インクジェット方式の3Dプリンター
ProJet MJP 2500
紫外線硬化樹脂をインクジェット方式で一層ずつ積層させるタイプの3Dプリンター。コンパクトな筐体で、細かな造形のものを作り出すことが可能。操作性にも優れており、コストパフォーマンスが高いため、人気の機種です。
アジリスタ[キーエンス]
アジリスタシリーズは高靱性と高精度を実現しています。従来の3Dプリンターではこの高靱性と高精度性を両立するのは大変困難でした。このアジリスタでは高靱性と高精度性を両立させたことによって、嵌合しネジ締めを行う組み立てが可能です。
Mulit Jet Fusion
こちらの3Dプリンターは、粉末状のプラスチック製素材にCMYKのインクを混ぜ合わせた結合剤を吹きつけるタイプのものです。従来は、石膏の粉末パウダーだったが、この3Dプリンターは、熱可塑性樹脂であるナイロン12を使用しているため、高いレベルでフルカラーのプラスチック製品を作ることができます。
Xjet
Xjetは、素材を直接、インクジェットで吹き付けるタイプのもので、液体状の金属素材をナノ粒子レベルで吹き付けることができる、新しい技術が導入されています。液体金属の材料ではステンレススチールが対応しており、注目されています。
Solidscape S350
Solidscape社製のインクジェット方式3Dワックスプリンターは解像度が高く、繊細さが求められる造形に適していると言えます。S350は造形ベースをセットし、データ転送が終わったらスタートボタンを押すだけで操作が完了します。Sシリーズのサポート材は付属ソフトが自動で構築してくれます。サポート材の除去は専用除去液に浸けるだけなので、特殊な技術や知識が不要です。
S350にはSolidscape社製の特許技術であるSmooth Curvature printingが標準で搭載されています。この技術によって造形物の表面精度はおよそ25%向上しています。鋳造後の仕上げ作業もサポートしてくれるのが特徴です。
まとめ
数多くの分野で導入
インクジェット方式は、積層ピッチが細かく高精細な造形ができるにもかかわらず、造形スピードが速いため、様々な業種で導入されている人気のタイプ。不随設備もほとんど必要ないので、導入コストを抑えることができるのも魅力の1つです。積層ピッチが細かいので表面の段差が少なく、造形後の処理が容易なため、さまざまな分野に向いています。
よくある質問
Q1
材料噴射と結合剤噴射は、同じインクジェット方式として比較できますか?
A
ノズルから液体を吐出する点は似ていますが、材料と後工程が異なります。結合剤噴射の金属品には焼結が必要な場合があります。一方、材料噴射の樹脂品にはサポート除去が必要で、完成までの工程がまったく異なります。材料噴射は樹脂などを吐出して固め、結合剤噴射は粉末へ結合剤を与えて形を作ります。
必要な強度、色、表面、後処理を並べ、同じ『インクジェット』という呼び名だけで選ばないことが大切です。
Q2
外観重視の試作に材料噴射を使うとき、何を確認しますか?
A
細部や複数の色・質感を確認しやすい方式ですが、仕上がりは材料とサポート除去の条件で変わります。硬さの異なる部分を同時に表現できる機種でも、境界の耐久性は別に評価します。見た目の再現と機能の合格を分けます。特に見せたい面、透明部、柔らかい部位を決め、完成後のサンプルを触って確認します。
量産品と同じ耐久性や色味まで判断する場合は、別の材料での評価も必要です。
Q3
高精細で短納期の試作をしたい場合、造形速度の表示だけで選べますか?
A
造形時間に加え、データ準備、サポート除去、洗浄、乾燥、仕上げまでが納期です。高精細な設定では造形そのものが遅くなる場合もあります。必要な細部だけで十分な設定を選び、後処理を含む納期で見ます。細かい形状ほど後処理で手間が増える場合があります。代表部品を必要数量で見積もり、完成品を受け取るまでの時間を比較すると、業務での速さを判断できます。
Q4
材料噴射機の導入費用と設置条件では何を見落としやすいですか?
A
本体以外に、モデル材とサポート材、交換部品、洗浄設備、保守、作業場所を見積もります。材料交換のたびに捨てる量や装置の清掃時間は、月に何度も色を変える運用で効きます。想定する使用頻度で見積もります。サポート材の量や稼働音を一律に決めることはできません。候補機で代表部品を造形し、材料使用量と後処理の時間を確認すると、総費用と設置負担が具体的になります。
Q5
材料噴射の部品を屋外や長期使用に使えますか?
A
材料によっては使用できますが、すべての造形品が屋外や長期荷重に適するわけではありません。日光にさらされるカバーと室内の展示模型では、必要な耐候性が違います。色の変化だけでなく、割れや接合部の変形を見ます。紫外線、温度、湿度、薬品、継続荷重への適合を材料製品ごとに確認します。
外観確認用の材料をそのまま実用品に転用せず、実使用条件での試験結果から判断してください。
Q6
フルカラー樹脂と金属造形は、同じインクジェット機でできますか?
A
フルカラーの樹脂造形と金属造形は、通常は別の材料・装置・後工程を使います。印刷ヘッドを使うという共通点があっても、フルカラー模型と金属部品を同じ性能で作る意味ではありません。装置の仕様表で対象材料を見分けます。『インクジェット』は吐出方法を指し、作れる材料を一律に示す言葉ではありません。
色の再現を優先するのか金属部品の性能を優先するのかを決め、対象方式と材料を確認してください。