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3Dプリンターを購入する場合、個人用であれば1万円台から20万円以上のものまで様々あります。
以前と比べれば安価で購入可能ですが、安いものは品質が安定しないことがあり、また高額なものを購入してもあまり使わないといったこともあるかもしれません。
さらに業務用になると数百万円以上する上に諸経費などもかかってきますので、一個人はもちろん企業であっても導入は容易ではありません。
そこで検討したいのが、3Dプリントを代行するサービスです。このページでは、3Dプリンター代行サービスについて解説していきます。
3Dプリンターは、本体の性能はもちろん素材なども向上している他、高品質で且つ小ロットの個別生産が可能となっており、それに伴って代行サービスも増えてきています。
そして代行サービスを利用する際には、3D-CADや3D-CGで作ったプリント用3Dデータを渡すだけで見積もりをしてくれるなど、気軽に利用できる点も大きな特徴といえるでしょう。
とはいえ3Dプリンター代行サービスの利用にはメリットだけでなくデメリットもあるようです。
3Dプリンター代行サービスを利用する最大のメリットは、プリンター本体や3Dソフトの費用、出力に必要な素材、ランニングコスト、メンテナンス費用が一切かからないことです。
また小ロットでの出力も可能であることから、「とりあえず試作品を作りたい」「あまり在庫を抱えたくない」という方にはぴったりのサービスといえます。
試作品や単発での利用であれば代行サービスを利用するメリットは高いですが、一方で複数回の発注や大量生産の場合、利用すればするほど費用がかかってしまい、最終的に本体購入よりも高くついてしまう可能性があります。
そのため、大量生産の目処がたった段階で自前での生産に切り替えるなどの対応が必要になるでしょう。
依頼から納品までの流れは代行サービスによって異なりますが、一般的には以下のような流れになります。
多くの3Dプリンター代行サービスで、平面図やイラストから3DCADデータを有料で作成したり、実物をスキャンして3Dデータ化するなどのサービスを行なっています。
その際は、イラスト・図面・写真・実物などの資料を送って3Dデータを作成してもらい、併せて試作の見積もりを提出してもらうことになります。
3Dデータ作成費用については各代行サービスによって異なりますが、高品質な3Dデータで概ね1万円~となっています。
3Dプリンター代行サービスの中には、工業用ハイエンド3Dプリンターを使用することで、プロトタイプだけでなく産業用(工業用)のパーツ・製品といった工業向け3D造形を得意としている業者もあります。
産業用・工業用パーツの発注にあたっては、高強度・柔軟性・耐候性・耐薬品性・高靱性・難燃性・汎用性・質感・中空構造といった用途の他、耐熱温度や色など、より細かく指定できることが多いです。
また、使用できる素材も多く、金属・カーボン・シリコン・高精細アクリル樹脂・ABSライク樹脂・PPライク樹脂・ナイロン樹脂・ゴムライク樹脂・ワックス樹脂・透明樹脂など、用途に合わせた選定も可能となっています。
3Dデータについても、.stl、.step(.stp)、.iges(.igs)、.dxf、.dwf、.dwg、.obj、.fbx、.wrlといった中間ファイル形式の他、.CATPart、.3ds、.ma、.c4d、.blend、.modelなどのネイティブデータ形式にも対応する業者も多くあります。
一般的なエンジニアリングプラスチックとして利用されているABS樹脂で作られたロボットアームカバー。ABS樹脂は耐久性・汎用性・加工性が高く、電気を使う製品や自動車のパーツなどで多く用いられています。
試作・量産ともに対応でき、また着色を行なうことができるため、よりデザイン性の高い造形物を作るのに適しています。
参照元:DDD FACTORY®(https://www.ddd-factory.jp/material/5990/)
使用されているPEKK(ポリエーテルケトンケトン)は、強度・耐熱性・強靭性に優れており、さらに耐摩耗性・耐薬品性・耐放射線性・低ガス放出特性といった様々な特徴を持ち合わせています。
1kgあたり約1万円という非常に高価な素材のためあまり一般的には流通しておらず、航空機部品や宇宙船パーツなどで採用されています。
参照元:DDD FACTORY®(https://www.ddd-factory.jp/material/7012/)
1,000万色以上の色彩表現が可能なフルカラープリンターによって製作されたフィギュアです。
耐久性・耐水性が高く、経年劣化が起こりにくいアクリル系樹脂を使用。表面のみ着色していますが、水に触れても変色の心配がなく、また髪の毛や指など細かいディテールを再現できることから、建築模型やミニチュアなどの造形にも多く用いられています。
参照元:3Dayプリンター(https://3day-printer.com/material/fullcolor-resin)
無色に近い透明樹脂を使用。造形直後は積層痕が残りますが、研磨およびクリア加工を施すことで透明な造形物に仕上げることができます。
滑らかな質感で加工しやすく、また寸法安定性にも優れており、模型やアクセサリー、ボトルの試作、さらにウィンカーレンズなどにも用いられる素材です。
近年、製造品の多様化に伴い、3Dプリンターに求められる機能性においても、性能が重視されることがポイントとなってきています。
ここでは、500万円未満のミドルクラスでありながら、高精細、高強度、短納期で造形できる3Dプリンターをそれぞれ紹介します。各製品の特徴に加えてショールーム情報もまとめました。
製品名 | 積層ピッチ | 最大造形サイズ (W×D×H) |
造形方式 | 材料などの特徴 |
---|---|---|---|---|
アジリスタ [キーエンス] |
0.015mm~ | 297mm×210mm×200mm | インクジェット方式 |
アジリスタは、国産の3Dプリンターでは数少ないインクジェット方式を採用し、積層ピッチ0.015mmの高精細造形を実現。水溶性のサポート材の為、細部までしっかりと造形でき、部品の組付けまでできる精度を誇ります。 使用可能な材料はUV硬化アクリル樹脂とシリコーンゴム。 樹脂はアクリルに少量のウレタンを配合し、靭性を持たせているため、ネジを締めても割れないことが特徴です。 |
Mark Two [Markforged] |
0.1mm~0.2mm | 350mm×132mmx154mm | 熱溶解積層方式+ 連続フィラメント方式 |
Mark Twoは、Markforged独自のカーボンファイバー連続繊維を使用できる方式が採用されています。 これは、造形物の内部にカーボンファイバーで骨組みを組成しながら形作っていく方式です。 これにより、高強度の造形が可能になり、製造工程で使う治具や工具、より強度が求められる部品の製造を行うことができます。 |
G-ZERO [グーデンベルグ] |
0.05〜0.250mm | 250mmx210mmx200mm | 熱溶解積層方式 |
G-ZEROは、最大500mm/sというスピーディな造形ができます。 短時間で造形が可能になり、生産性が向上します。 高速で動くヘッドの振動を抑える技術も搭載し、ハイスピードながら安定感のある造形ができます。 |
■選定条件
アジリスタ[キーエンス]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高精細」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、インクジェット方式を採用し、積層ピッチが最小の製品として選出
Mark Two[Markforged]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 強度」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、カーボン素材を使用できるもので、唯一、熱溶解積層方式+連続フィラメント方式を採用している製品として選出
G-ZERO[グーテンベルク]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高速」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、造形速度が最速の製品として選出しました。