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3Dプリンターと切削加工法の違い
用途別3Dプリンター3選を
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この記事でわかること
- 「足し算方式」の3Dプリンターと、「引き算方式」の切削加工の基本的な違い
- 試作品の用途や求める精度に応じた、両者の適した加工状況
- 納期の違いや、コスト・品質面から見た効果的な使い分け方
工業製品などの加工には、旋盤や研削加工機、マシニングセンター、型彫り放電加工機などを用いていますが3Dプリンターの誕生によって変わりつつあります。3Dプリンターは、切削加工や射出成型金型ではコストがかかる、試作品や小ロット多種類製品の製造に対応できる新しい生産方式です。
しかし、歴史が浅いことや従来の加工方式とは、全く異なることか切削加工法との違いを理解していない人も珍しくありません。そこで、このページでは、3Dプリンターの切削加工法の違いを分かりやすくご紹介していきます。
3Dプリンターと切削加工法の違いとは?
3Dプリンターと切削加工法との違いは、製品加工に対する考え方や加工方法です。また、積層方式と切削方式は、用途や目的によって使い分けることが大切です。
3Dプリンターと切削加工法は足し算と引き算という違い
3Dプリンターと切削加工法は、素材(原料)に対する加工の考え方が大きく違っています。
切削加工法とは、樹脂や金属などの素材をドリルやチップ(旋盤に使用する工具)などを用いて、削りながら形状を作り出す加工のことです。一昔前は、汎用工作機械が主流で、現在はNC工作機械と汎用工作機械の2種類を併用しながら、精度の高い部品を作ります。
汎用工作機械とは、プログラムによる自動加工機能が搭載されていないモデルで、職人の腕がダイレクトに表れるのが特徴です。一方NC工作機械は、プログラムを組んで自動加工を行うモデルで、プログラム技術も問われます。
どちらも、素材を削る「引き算方式」の加工というのが大きな特徴です。
一方で3Dプリンターは、樹脂や金属を加工装置内で溶かします。そしてノズルから溶かした樹脂や金属を、ミルフィーユのように1層ずつ重ねながら形状を作り出す仕組みです。
3Dプリンターは切削加工と違い、素材を足していく「足し算方式」の加工が特徴的です。
このように加工機という点は同じですが、素材をどのように加工するのかといった点はまったく違います。
加工フローの違い
切削加工法の場合は、汎用工作機械とNC工作機械どちらを使用するかによって、加工フローは変わります。また、旋盤やマシニングセンター、ボール盤などさまざまな工作機械で製品や部品を加工する必要が。そのため、金型や製品など、どのケースでも1つの工作機械で完成しないことがほとんどです。
さらに試作品など、新しい製品を作り出す場合は、切削加工に必要な工具・治具作りから始める必要があります。
一方、3Dプリンターの場合は、3Dプリンター1台で全加工が完了するため加工フローはシンプルです。さらに、1度に複雑形状を加工できたり、中空構造にできたりと対応範囲も非常に広いのが魅力でしょう。
しかし、樹脂や金属の選定や熱による反りやゆがみ、精度を保つための対策など経験が問われる場面も多く、3Dプリンター特有の難易度や課題も発生します。
3Dプリンターと切削加工法に適した状況
3Dプリンターと切削加工は、どちらかが優れているということではありません。それぞれの優れた特徴を把握したうえで、使い分けることが大切です。
切削加工に適した加工状況
切削加工法に適した状況とは、以下のようなケースを指します。
- 試作品の素材も最終製品と同じ素材で行う必要がある
- 簡単な形状が多い製品の加工
- 強度が必要な製品の加工
切削加工法の強みは、どの工作機械でもさまざまな金属を加工できる点です。3Dプリンターの多くは、樹脂のみに対応しているため金属製品の加工は限定的です。
また、積層加工の弱点でもある、横方向からの力に対して弱い点も切削加工であれば問題ありません。素材は後から付け加えたり接着したりしても、接着面の強度が脆い傾向があるので、あとから付け加えない切削加工の方が強度面で優れています。
3Dプリンターに適した加工状況
続いて3Dプリンターに適した状況もご紹介します。
- さまざまな試作品を生産しなければいけない
- 試作品の予算が限られている
- 設計データはあるが、工作機械が不足していて外注費用も捻出できない
- 切削加工では加工できない形状がある
3Dプリンターの強みは、試作品にかかるコストを抑えることができる点と、複雑形状に対応できる点です。
切削加工の場合は、細かな形状や複雑形状を外側から加工しなければいけないため、刃物が入らない・刃物が隙間に挟まり破損など、さまざまな課題があります。また、加工者の技術力が問われるため、状況によって試作品の作り直しも想定しなければいけません。
一方、3Dプリンターは、データを基に自動・積層加工するので、再現性が高く複雑な形状も問題無く対応できます。また、中空構造(内部に空洞がある状態)は、切削加工では難しい構造ですが、3Dプリンターは加工可能です。
ちなみに以下のような構造、優れた特徴もあります。
- 各部品を組み合わせた、一体成型の状態で加工可能
- 透明なパーツを使用し、内部の構造が分かる状態で加工可能
3Dプリンターと切削加工の納期比較
切削加工と3Dプリントでは納期が大きく違ってきます。切削加工で外注するとなった場合は、社内手続きに多くの時間と工数を要するでしょう。高額な試作品を作成するとなったときは、社内稟議にもかけなければならないので、1週間以上はかかると考えるべきでしょう。
一方で3Dプリンターを導入すれば、社内での決裁が取れればすぐに作業に取りかかることが可能です。スムーズに行けば1日以内に着工できると思います。サイズが大きくなければ、同時にいくつかの造形もできるメリットもあります。また社外に依頼するよりもローコストで造形物の製作ができるようになるでしょう。その分、試作回数を増やすことができるかもしれません。
3Dプリンターと切削加工の効果的な使い分け方
3Dプリンターと切削加工では加工できる素材、寸法精度などに違いがあるので、造形物に対するクオリティーによって使い分ける必要があります。切削加工ならば、量産品とほぼ同じレベルでの機械的、熱的性質および寸法精度を持つ試作品が製作できるのが特徴です。3Dプリンターではその機種の特性によって異なりますが、複雑な形をした造形物だったとしても製作できます。また造形物の高さがあったり、曲面が多かったりする場合も3Dプリンターの方が得意です。3Dプリンターと切削加工が得意とする作業を理解して、導入するのが間違いないでしょう。
まとめ
切削加工法の魅力は、状況によっては3Dプリンターよりもスピーディな加工(穴を空ける、R加工、6面出しなど)が可能です。そして3Dプリンターは、NC工作機械でも難しい細かな溝や内部構造を含めた一体成型も対応できます。
さらに3Dプリンターは、家庭用から産業用と求められている加工精度に応じて開発されているので、普及が進む可能性もあります。
ぜひ、今回の知識を参考に導入を検討してみてください。
よくある質問
Q1
3Dプリントと切削加工は、形を作る工程のどこが違いますか?
A
3Dプリントは材料を積み重ね、切削加工は材料を削って形を作ります。積み重ねる方法は工具の届かない内部形状を作りやすく、削る方法は素材の塊から精度の高い面を仕上げやすい特徴があります。部品の要求で使い分けます。ただし、3Dプリントにも洗浄や仕上げ、切削にも治具の準備や工具交換があり、工程の数だけで優劣は決まりません。
比較したい部品の形状、材料、数量、必要精度を同じ条件にして判断します。
Q2
3Dプリンターなら、切削より加工工程を必ず短くできますか?
A
必ずしも短くなりません。造形そのものが短くても、洗浄や乾燥が長ければ完成は遅れます。切削側も段取り替えや外注待ちを含め、納品できる状態まで比較します。複雑な内部形状では段取りを減らせる場合がありますが、サポート除去、洗浄、熱処理、検査が必要な方式もあります。
切削でも単純な部品なら短時間で仕上がります。代表部品について、データ準備から検査までの所要時間を両工法で比べてください。
Q3
試作品で3Dプリントと切削を使い分ける基準は何ですか?
A
形状変更の頻度、材料、精度、仕上がり、数量を基準にします。形だけ確認する初期試作と、量産材料の性能を測る最終試作では適した工法が変わることがあります。同じ部品でも段階で選び直します。複雑形状を少量ずつ試すなら3Dプリントが向く場合があります。
一方、量産と同じ素材の物性や厳しい公差を確かめたい場合は切削が候補です。試作で何を判断するかを明確にし、必要なら外観用と機能評価用で工法を分けます。
Q4
強度や寸法精度は、切削加工の方が常に優れていますか?
A
材料と加工条件によります。切削した部品は素材の性質を保ちやすい一方、複雑な空洞を一体で作ることは難しい場合があります。必要なのが材料特性か形状自由度かを分けます。切削は母材の特性を活かしやすく、厳しい公差の仕上げに向く場合があります。
一方、3Dプリントでも用途に合う強度を得られる方式があります。必要な荷重、測定箇所、許容差を決め、造形方向や後加工を含む条件で実部品を比較することが重要です。
Q5
切削の外注品を内製造形へ切り替える際、費用と納期をどう比べますか?
A
外注の発注から受領までと、内製のデータ準備・造形・後処理・検査までを比べます。外注単価が高い部品でも、内製で何度も造形に失敗するなら効果は小さくなります。成功率と再加工の工数も一個当たりで比べます。内製なら変更への対応が早い場合がありますが、材料費や担当者の工数、失敗時の再造形も発生します。
数件の代表部品を選び、同じ数量・品質条件で総費用と所要日数を記録すると判断できます。
Q6
切削が難しい形状でも、3Dプリントなら無条件に一体化できますか?
A
内部流路や複雑な空洞は3Dプリントの利点ですが、粉末やサポート材を取り出す経路が必要です。内部流路は造形できても、内部に残った粉末や樹脂を取り除けなければ使用できません。完成後の清掃と検査ができる形状が条件です。大きさ、造形方向、後処理の手の届き方にも制約があります。
設計段階で排出口と検査方法を決め、代表的な内部形状を試してから一体化を判断すると安心です。