公開日:|更新日:
CONTENT
3Dプリンターのデータ作成
用途別3Dプリンター3選を
詳しく見る
この記事でわかること
- 3Dデータ作成における表現方法(ソリッド・ポリゴン等)とファイル形式の特徴
- 3D CAD、3D CG、スキャンなど用途に応じた5つのデータ作成方法
- 造形エラーを防ぐためのSTL変換時の注意点とデータ作成におけるポイント
3Dプリンターのデータを作成するには
3Dプリントを行うためには、まず3Dデータを作成する必要があります。
流れとしては「3Dデータを作成」→「STLファイルへの出力・整合性チェック」→「造形パスツールへの変換」→「3Dプリント」→「サポート材の除去」→「仕上げ」となりますが、もっとも手間がかかる工程が3Dデータの作成でしょう。
そこで、3Dデータ作成における表現方法やファイル形式などの解説のほか、STL(OBJ)データで起こりやすいエラーやデータ作成時の注意点などについて紹介します。
表現方法(データの種類)
ワイヤーフレーム
中身や面がなく、各頂点を線で結んだ表現をワイヤーフレームとよびます。骨組みだけの状態のため、データ量が少なく表示速度が速いのが特徴。3Dデータ作成においてワイヤーフレームのみを使用することはほとんどありませんが、形状作成の過程では広く用いられています。
サーフェイス(サーフェス)
サーフェイス(サーフェス)とは、骨組み状態のワイヤーフレームに面をはり付けたもの。立体モデルですが、中身がないため体積をもちません。そのため、表面部分を確認したい時などに用いられます。
ソリッド
骨組みと面をもったサーフェイス(サーフェス)に中身(体積)が加わった表現です。体積や質量の計算や干渉チェックが可能。情報が多くデータ量も多いものの、ほとんどの3D CADで用いられています。
ポリゴン
ポリゴンとは三角形や四角形が集まった多面体のこと。3D CGで使用されることが多く、球などの表現も可能。表現可能な範囲が広いものの、追加設計の際に穴がないようにしたり、裏表を混在させないなどの注意点もあります。
データフォーマット(ファイル形式)
3D CADなどで作成されたデータは、各ソフトによって保存されるファイル形式が異なります。しかし作成した3Dデータを3Dプリンターで印刷するためには、ファイル形式を「STL形式」に変換する必要があります。
STL形式はほとんどの3Dプリンターに対応するファイル形式です。すべての立体形状がポリゴンで構成され、ポリゴンの分割数を細かくするほど滑らかな曲面を表現できます。
なお、「OBJ形式」と呼ばれるファイル形式もありますが、STLへの変換出力が可能なソフトもあります。
3Dデータの作成方法5つ
3D CADを使用する
3D CADではワイヤーフレーム・サーフェイス(サーフェス)・ソリッドを用いて点や線、面や体積で3Dデータを作成します。
正確なデータ作成ができるのが強みですが、3D CADでのデータ作成にはある程度の知識が必要になるというデメリットもあります。
3D CADのソフトウェアの種類
3D CADのソフトウェアの種類としては以下が挙げられます。
- ソリッドワークス・ジャパン株式会社の「SolidWorks」
- オードデスク株式会社の「Autodesk Inventor」「Fusion 360」
3D CGツールを使用する
3D CGでは三角形や四角形を組み合わせたポリゴンベースと、曲面を使ってプリント用のデータを作成するスプラインベースの2種類の方法を使って3Dデータを作成します。曲面が多い製品に向いているため、フィギュアなどの作成に適しています。
ソフトウェアの種類
3D CGのソフトウェアで知られているものとして、以下の2つがあります。
- 株式会社モックスの「Blender」
- オードデスク株式会社の「Tinkercad」
実物をスキャンする
3Dスキャナーや3Dプリンターのスキャナ機能で実物をスキャンしてデータを作成します。既に3Dデータ化したいモデルがある場合、3D CADなどを用いるよりスキャンした方が効率が良いことも。
3Dデータをダウンロードする
「3Dプリンターのテストをしたい」「自分で3Dデータを作成する時間がない」という場合は、無料配布サイトからデータをダウンロードする方法もあります。ただし商業利用をしないことや著作権などのルールがあるため、使用の際には注意が必要です。
また、データダウンロードでは既製品しかつくれないため、つくるものにこだわりがある場合はデータを作成する必要があります。
3Dデータ作成サービスを利用する
「3Dデータを作成してオリジナルのものを作りたいけれど、3Dデータを作成する知識や時間がない」という方もいるでしょう。その場合、3Dデータ作成サービスを利用すると良いでしょう。
3Dデータ作成サービスでは、写真やイラストを渡すだけで3Dデータを作成してくれます。なお、サービス内容によっては3Dプリントまで行ってくれる場合もあります。
造形ツールパスデータへの変換
3Dデータを作成しSTLファイルの出力や整合性チェックをした後は、造形ツールパスデータへ変換します。使用する3Dプリンターに合った出力方式に変換できるスライスソフトを選びましょう。なお、3Dプリンターによっては専用のスライスソフトを用意していることもあります。
STL(OBJ)データで起こりやすいエラーについて
STL(OBJ)データにエラーがあると、3Dプリントができません。 STL(OBJ)データで起こりやすいエラーとしては、以下のようなものが挙げられます。
たとえば変換精度とはポリゴンの分割数を意味しますが、変換精度が低いと曲面をただしく表現できなかったり、形状が粗くなることも。そのため変換精度は高めの設定がおすすめですが、ファイル容量が大きくなってしまう場合は調整しましょう。
また、3D CADソフトなどで体積のないサーフェイス(サーフェス)までしかデータ作成を行っていない場合、プリントができません。そのため体積のあるソリッドまで変換してからSTL形式に保存しましょう。
そのほかには、ポリゴンに穴がある場合もプリントできません。ポリゴンに穴がないか確認し、修正してからプリントしましょう。
3Dプリンターデータ作成時に注意すべきポイント
体積がない・厚みがないデータは上手くプリントされない
3Dプリントでは体積がないデータはプリントできません。体積のあるソリッドまで変換しているか確認しましょう。また、薄すぎる3Dデータは上手くプリントされないか、プリントできたとしてもサポート材除去時などに壊れてしまう可能性があります。どのくらいの厚みがあれば良いのかは使用材料や3Dプリンターによって異なるため、強度に不安がある場合はテストプリントしてみると良いでしょう。
積層方向で仕上がりが変わる
積層方向によって造形物の仕上がりや強度が変わります。積層方向はプリントする時のパーツの向きによって異なり、「積層方向に対して垂直にかかる力に弱い」という特徴も。そのため、強度や仕上がりを考慮し、積層方向に注意してデータを作成しましょう。
造形後を考慮し、サポート材に注意
複雑な形状のものをプリントする場合、サポート材の使用が必要です。しかし形状が複雑なことでサポート材の除去時に上手く除去できない・除去時に本体を壊してしまうという可能性も。そのため、複雑な形状の場合はパーツ分けしてプリントするなど、サポート材をなるべく使用しない工夫が必要です。
3Dプリンター用のデータ作成サービスについて
3Dプリントのためのデータ作成には、大きく分けて以下の方法があります。
- 3D CADや3D CG、3Dスキャナーなどを使って自分で行う
- 配布サイトからダウンロードする
- データ作成サービスを依頼する
オリジナルの造形物をプリントしたい場合はデータ作成から対応する必要がありますが、「データ作成に自信がない」「データ作成の時間がない」という場合もあるでしょう。
その場合、データ作成サービスを利用するのがおすすめです。データ作成サービスでは面倒で複雑なデータ作成から対応してくれるため、3Dプリントの知識や技術がない方でも安心して依頼できるでしょう。
よくある質問
Q1
社内に3D CAD担当者がいない場合、造形用データはどう準備しますか?
A
図面、現物、写真などから外部へモデリングを依頼できます。現物が摩耗している場合、写し取った形をそのまま正しい設計寸法としないことも重要です。合わせる相手部品を含めて寸法を指定します。ただし、写真だけでは寸法や見えない面が分からず、実用品の設計には追加情報が必要です。
用途、重要寸法、相手部品、使う材料、納品してほしいデータ形式を先に整理し、修正回数とデータの利用範囲も確認して依頼すると手戻りを減らせます。
Q2
CADデータを造形するとき、STLへ書き出すだけで準備は終わりますか?
A
STLや3MFなど対応形式への書き出しに加え、単位、肉厚、穴の閉じ、造形方向、サポートの要否を確認します。曲面を粗く書き出すと、画面では滑らかな形状でも造形後に角が見えます。重要な輪郭を拡大してから造形指示へ進みます。スライサーで材料と機種に合う設定へ変換して初めて造形できます。
細い文字や曲面は書き出し精度で形が変わるため、重要箇所をプレビューで拡大して確認してください。
Q3
STLのエラーが出たとき、まずどこを確認しますか?
A
穴の開いた面、重なった面、面の向き、厚みのない形状、単位の違いを確認します。よくあるのは、閉じていない面や裏返った面があり、造形ソフトが内外を判断できないケースです。修復後の見た目だけでなく体積も確認します。スライサーやメッシュ修復ツールで問題箇所を特定し、元のCADデータ側で直せるなら元データを修正して書き出し直します。
自動修復で細部の形状が変わる場合があるため、重要寸法は修復前後で比較してください。
Q4
サポートを外すと細部が壊れる場合、データと造形のどこを変えますか?
A
まず破損箇所とサポートの接触位置を確認します。サポートを支える位置を変えると、見せたい面は守れても荷重方向が変わることがあります。外観と強度のどちらを優先するか決めて調整します。造形方向を変えて接触面を減らす、細い部分の肉厚や根元の形状を見直す、分割して造形するなどの方法があります。
形状を変えられない場合は除去しやすいサポート材や方式を検討します。細部だけを先に試作すると、大きな造形のやり直しを減らせます。
Q5
曲面が多いモデルを作るとき、CADと3D CGをどう使い分けますか?
A
寸法や組み付けを管理する製品部品にはCAD、自由な曲面や造形表現を重視する原型には3D CGが向く場合があります。曲面の自由度が高いデータでも、嵌合に使う穴や軸は数値で管理した方が安全です。両方を使う場合は基準となる寸法を共有します。どちらでも、造形用には厚みのある閉じた形状が必要です。
見た目を優先する箇所と寸法が必要な箇所を分け、出力前に曲面の分割線や最小肉厚を確認します。
Q6
データ設計で造形物の強度を高めるには、何を優先しますか?
A
充填率だけでなく、荷重方向に対する造形方向、肉厚、穴の周囲、角の形状を優先して見ます。薄肉をただ厚くすると相手部品と干渉する場合があります。荷重が集中する根元だけを補強するなど、機能を保てる形状を選びます。薄い根元や鋭い内角には力が集中しやすく、材料を増やしても破損する場合があります。
使用時の力を図示し、破損しやすい部位を補強した試作を同じ条件で比べると改善点が分かります。