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その1.光造形型

500万円未満の高性能な業務用3Dプリンター特集

造形方式の一つ、光造形型の3Dプリンターについて、メリットやデメリットを調べました。

光造形方式とは

光造形は3Dプリンターの積層造形法のなかでも昔から存在する方式です。紫外線を当てることで固まる性質をもつ液状のエポキシ樹脂に一層一層紫外線レーザーを当てて硬化させることを繰り返しながら、立体的な造形物を作ります。

光造形方式の「レーザー走査方式」と「プロジェクター方式」の違い

光造形方式には「レーザー走査方式」と「プロジェクター方式」がありますが、“光硬化樹脂に紫外線をあてて硬化させ造形する”という点は同じです。この2つの方式の大きな違いは“光のあて方”にあり、レーザー走査方式では紫外線をあて「点」で造形していくのに対し、プロジェクター方式では紫外線を「面」で当てて造形します。

そのため、同じ光造形方式でも光のあて方によって造形の結果が異なります。
たとえばレーザー走査方式では細かいパーツを1度にたくさん造形したいとき、プロジェクター方式では複雑なパーツをひとつだけ造形したいとき・解像度にこだわらない大きなパーツをスピーディに造形したいときなどに向いています。

レーザー走査方式の特徴

レーザー走査方式では、液体樹脂に紫外線レーザーをあて、一層ずつ硬化させていきます。紫外線レーザーは反射鏡を走査させることで液体樹脂にあたり、「点」として硬化させます。「線」をつくるためには反射鏡の走査を繰り返し、順々に硬化させていくことが必要です。

レーザー走査方式のメリットは、高精細で滑らかな表面造形を可能とすること。デメリットとしては、プリント速度がプロジェクター方式と比べると劣る点などが挙げられます。

プロジェクター方式の特徴

プロジェクター方式では会議室にあるプロジェクターと同様の原理で液体樹脂に紫外線をあてます。レーザー走査方式が点をつなげて線にして一層ずつ硬化させていくのに対し、プロジェクター方式では紫外線をデジタル画像としてあてるため、一度に広範囲へレーザーをあてることができます。そのため、プロジェクター方式では高速プリントが可能です。

ただ、プロジェクター方式では造形範囲いっぱいの大きなパーツをプリントする・小さなパーツを1~2個プリントする、といった場合は高速プリントできるメリットがあるものの、造形範囲いっぱいに小さなパーツいくつもプリントする場合は高解像度でのプリントができません。

レーザー走査方式には、自由液面方式と吊り下げ方式があり、主にプロジェクター方式は吊り下げ方式を採用しています。

光造形方式の3Dプリンターでどんな物が作れる?

光造形方式の3Dプリンターでは、複雑な形状に対応でき、滑らかさを持った造形が可能。アクセサリーの試作品やフィギュア、手術前のシミュレーションで活用される臓器のモデルなどを作るのに向いています。細かなデザインが多いアクセサリーや複雑な構造の心臓モデルは、光造形の特性をフルに活かせます。

特殊な例を挙げるとすれば、壁の装飾や補強に使われる「壁瓦」のモデル制作にも用いられています。モデル自体に実際の施工で使用できるほどの強度を持っていたため、設計会社側もイメージしやすかったようです。

また、とある研究室では、風洞実験(風の流れを予測する実験)用の「翼模型」を光造形式の3Dプリンターで作成したそうです。

従来の模型作成方法では、研究テーマにマッチせず困っていたところ、光造形の3Dプリンターなら厚み3ミリ・長さ75ミリの翼模型でも内部に空洞を作れるというメリットがあると知ったのだとか。イメージどおりの翼模型を入手したことで、研究はうまく進んでいるようです。

このように、光造形方式の3Dプリンターは、高精細な造形物を生み出すことに長けているといえます。

光造形方式のメリット

滑らかな造形物が作れる

光造形は造形物の表面が滑らかなものを作ることができますので、造形後の処理に手間がかかりません。

複雑な形状も造形できる

光造形は複雑な形状でも短時間で造形が可能です。精度が高いので、プレゼンテーションやデザインの確認モデルとしても重宝されます。

古くから使われていて実績がある

光造形は古くから使われている方式のため、実績があります。現在産業分野では最も利用されている積層造形方式です。

透明度の高い造形物ができる

他の造形方式に比べると光造形は透明度の高い造形物を作ることができます。後工程で研磨をすればさらに透明度を高めることも可能です。

光造形方式のデメリット

コストが高くなりがち

ABS樹脂に比べると光造形に使える樹脂は単価が高いため、重量のある造形物を作ろうとするとコストが高くなりがちです。

造形後の処理に手間がかかる

造形後は未硬化樹脂をアルコールや有機溶剤で洗浄する必要があったり、樹脂によっては二次硬化の必要があったりと、処理に手間がかかります。

太陽光での劣化があるため長期間の使用に向かない

エポキシ樹脂は太陽光で劣化をする特性があるため、長期間の使用には向きません。また力が加わるものにも不向きです。

量産には向かない

光造形のメリットである複雑な形状まで造形できるという点は、かえって量産には向かない場合があります。

光造形方式の3Dプリンター

DWSXFAB

精細な造形を得意とするDWS Systemsの光造形機は、その性能の高さゆえに、高額なものばかりでしたが、このDWSXFABは、光造形の3Dプリンターとしては低価格。更に、ワークサイズが直径180mm、高さ180mmと広いため、様々な造形物を製作するのに便利です。

DWS030X

ガルバノレーザータイプを採用しているハイスペック機として知られるDWS030X。本体内部に樹脂などが漏れることでトラブルになるのを防ぐ保護システムが完備されています。またトレイ可動システムを導入しているため、同じ部分にレーザーが照射されることで起きる樹脂トレイの消耗や造形のクオリティが従来の製品より改善されています。

VECTOR 3SP[EnvisionTEC]

VIDA/VIDA HD[EnvisionTEC]のVECTOR 3SP は、造形物の表面の滑らかさと精度を損なうことなく高速造形が可能です。また造形サイズは300 x 200 x 275mmと大きな造形物にも対応できます。独自の3SP技術によって十らのSLA方式とDLP方式の課題を克服しています。3SPテクノロジー(Scan Spin and Selectively Photocure)はUVレーザーを毎分20,000回転するポリゴンミラーで反射させて、樹脂の液面に投射することで、樹脂硬化させるEnvisionTEC社独自の技術です。こうすることで従来のSLAと比較して光学調整が容易になったことにより、さらに高精細な仕上がりが実現しています。またDLPに比べて大型な造形物も製作できるようになったのが特徴です。

VIDA/VIDA HD[EnvisionTEC]

VIDA/VIDA HD[EnvisionTEC]は、小型の精密部品の試作造形に適しているEnvisionTEC社のエントリーモデルとなっています。この製品の特徴はマテリアルトレイの脱着が容易なため、さまざまな素材に切り替えて造形ができる点です。またサポート材が少ないため、ランニングコストも低いのが特徴。

次世代型光造形装置 Rapid Meister ATOMm-4000

ミドルサイズ造形装置で日本製の3Dプリンターです。特徴としてはシーメット社独自開発のスキャンシステムTSS4を搭載していることが挙げられます。従来のシステムと比較して大幅に描写時間を短縮し軌跡精度が向上しています。また新採用の半導体励起固体レーザーを搭載することで、レーザーランニングコストを4割(シーメット社既存機と比較して)削減。本体にはタッチパネル式を採用し、操作しやすく見やすいように液晶ワイドモニターとなっています。

まとめ

複雑な形状に対応

光造形方式の3Dプリンターは、複雑な形のものでも対応できるのがポイント。プロトタイプのアクセサリーやフィギュアなどに最適です。

従来から使用される方式

光造形は最も歴史のある方式ですので、実績は申し分ありません。産業の分野では最もポピュラーなタイプのものです。

正確なものを製作

光造形は、同じものをたくさん作るのには不向きですが、1つのものをじっくりと作ることができます。

3Dプリンターイメージ
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3Dプリンターイメージ
           

近年の製造品の精緻化に伴い、500万円未満であっても、ハイエンドモデルに匹敵するような性能を備えたミドルクラスの3Dプリンターが、続々登場しています。
ここでは、500万円未満でありながら、高精細、高強度、短納期で造形できる3Dプリンターをそれぞれ紹介します。

       

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500万円未満の
高性能な業務用3Dプリンター特集

近年、製造品の多様化に伴い、3Dプリンターに求められる機能性においても、性能が重視されることがポイントとなってきています。

ここでは、500万円未満のミドルクラスでありながら、高精細高強度短納期で造形できる3Dプリンターをそれぞれ紹介します。各製品の特徴に加えてショールーム情報もまとめました。

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製品名 積層ピッチ 最大造形サイズ
(W×D×H)
造形方式 材料などの特徴
アジリスタ
[キーエンス]

アジリスタ[キーエンス]の製品

引用元:キーエンス公式HP
https://www.keyence.co.jp/products/3d-printers/3d-printers/

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0.015mm~ 297mm×210mm×200mm インクジェット方式

アジリスタは、国産の3Dプリンターでは数少ないインクジェット方式を採用し、積層ピッチ0.015mmの高精細造形を実現。水溶性のサポート材の為、細部までしっかりと造形でき、部品の組付けまでできる精度を誇ります。

使用可能な材料はUV硬化アクリル樹脂とシリコーンゴム。

樹脂はアクリルに少量のウレタンを配合し、靭性を持たせているため、ネジを締めても割れないことが特徴です。

Mark Two
[Markforged]

Mark Twoの製品画像

引用元:Markforged公式HP:
https://markforged.com/jp/3d-printers

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0.1mm~0.2mm 350mm×132mmx154mm 熱溶解積層方式+
連続フィラメント方式

Mark Twoは、Markforged独自のカーボンファイバー連続繊維を使用できる方式が採用されています。

これは、造形物の内部にカーボンファイバーで骨組みを組成しながら形作っていく方式です。

これにより、高強度の造形が可能になり、製造工程で使う治具や工具、より強度が求められる部品の製造を行うことができます。

G-ZERO
[グーデンベルグ]

G-ZEROの製品

引用元:PR TIMES公式HP:GUTENBERG社製 プロフェッショナル3Dプリンター G-ZEROの販売開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000057289.html

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0.05〜0.250mm 250mmx210mmx200mm 熱溶解積層方式

G-ZEROは、最大500mm/sというスピーディな造形ができます

短時間で造形が可能になり、生産性が向上します。

高速で動くヘッドの振動を抑える技術も搭載し、ハイスピードながら安定感のある造形ができます。

■選定条件
アジリスタ[キーエンス]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高精細」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、インクジェット方式を採用し、積層ピッチが最小の製品として選出
Mark Two[Markforged]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 強度」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、カーボン素材を使用できるもので、唯一、熱溶解積層方式+連続フィラメント方式を採用している製品として選出
G-ZERO[グーテンベルク]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高速」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、造形速度が最速の製品として選出しました。