公開日:2022年12月6日 |更新日:
2026年9月30日
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試作・開発段階
用途別3Dプリンター3選を
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この記事でわかること
試作・開発フェーズにおける業務用3Dプリンター導入のメリットと内製化によるコスト・時間の削減効果
開発スピードや製品品質を劇的に向上させた企業による具体的な活用事例
高精度な試作品製作・動作検証に最適な光造形方式をはじめとする推奨スペック
業務用3Dプリンターを導入すると、試作・開発段階でどのようなことが可能になるのか、まとめています。
試作・開発段階で業務用3Dプリンターができること
試作・開発段階では、ここまで進めてきた計画で、設計時の仕様に合致した製品になっているか確認が重要です。性能面や強度、耐久性などに問題点がないかチェックして進める必要があります。
3Dプリンターの魅力は、複雑な形状であってもスピーディーにつくり出せる点です。サイズが合わない、構造がおかしいといった問題があった場合、すぐさま問題箇所のデータを修正することで、スムーズな対応が可能 です。
思いついたアイデアをそのまま造形モデルとして具現化できる 点も、3Dプリンターの大きなメリット。現場で使用するボルト1本まで再現できます。使い方もシンプルであり、CADデータを3Dプリンターに転送するだけでイメージどおりの試作品を生み出せます。
さらに社内の業務用3Dプリンターを活用することで、外注に出せば本来は1週間かかる試作品が、わずか数時間で作成可能 です。外注依頼をしてから試作品が出来上がるまで、1ヶ月近くかかる物であっても、数日で出来上がるでしょう。また、試作品をいくつも作れるため、サイズや形状のバリエーションの確認が容易になる うえ、外部に機密情報が漏れてしまう心配もありません。
試作・開発段階のプレゼンテーションにも役立つでしょう。デザインを実際に見たり触れたりできるので、図面や仕様書だけのときよりも明確に伝えられます。組み付け時に起こる部品同士の相性も業務用3Dプリンターで作った部品のモデルを使って確認することで、トラブル防止につながります。
複雑で多様化しており、かつ納期が短い物であっても、3Dプリンターならば柔軟に対応できます。初期投資でコストがかかりますが、時間がかからないので最終的なコストダウンを図れるでしょう。
ただし、3Dプリンターでは実際の製品よりも耐久性が低いため、製作手法を使い分けたほうがよいです。たとえば最終段階の試作であれば、射出成形・切削加工で質の高い試作品を作る方が好まれます。
業務用3Dプリンター導入済企業の例
既に業務用3Dプリンターを導入している企業は、試作・開発の段階でどのように活用しているのでしょうか。
リコーテクノロジーズ株式会社
3Dプリンター導入後、画面の中だけでの想像ではなく、動きのある世界が見られた点に社内で驚きの声が上がったというリコーテクノロジーズ。よりリアルな物を確認する時間があるからこそ、品質の向上につながります。
また、仕上がりのタイミングを正確に算出できる点も、高評価を得ているそうです。試作品の評価計画を立てやすい上、ひとつの評価作業が終わってすぐ、次の評価作業へ移れることで、仕事がスムーズになったのだとか。
実際、造形物が完成するまでのスピード感は、設計者をよりクリエイティブな思考へ導くサポートをしてくれているそうです。
さらに、開発の手戻りを抑えていることも導入成功の要因。たとえ基準に満たない物だったとしても、すぐに修正できるため、造形物の精度を高めながら、色々なアイディアを試すスタッフもいるようです。
これまでは画面を見てイメージしていましたが、これからは実際に手に取って確かめる時代に変わるでしょう。商品開発の初期段階からこまめに評価すれば、どんどん質が上がります。製品の質だけではなく、組み立て工程や量産性の検討などもできるのが、3Dプリンターなのです。
リコージャパン株式会社
全国の鉄道・交通関係企業、警備会社向け、警備・防犯・安全用品などの企画・製造・販売を行っている株式会社金星。最終製品の製造までできる3Dプリンターを導入して製品開発スピードとコストの大幅な改善を実現しました。
これまでは新製品開発の金型による試作品製作を外注していましたが、納品物の仕上りがイメージと異なる場合が多く手戻りが頻発。そのたびに金型も製作し直すので開発期間が長くなりコストがかかるという課題を抱えていました。そこで試作から最終製品の生産まで社内で行いたい、金型を作らずに開発ができないかと3Dプリンターの導入を検討し、プロトタイプ製作だけでなく最終製品の製作まで行えるHP Jet Fusion 3Dプリンターの採用を決定。
リコージャパンを選んだのは様々なメーカーの製品を取り扱っている代理店であったことに加え、3Dプリンターに関して豊富な情報量と知識があり、導入・活用に適切なアドバイスやサポートをしてもらえるからだとか。
3Dプリンター導入後、試作から最終製品まで自社で内製できるようになり、製品開発スピードが格段に上がり、金型を使わずに最終製品が自社で製造できるので、金型製作コスト、輸送コスト、組み上げコストなど1/2から1/3のコスト削減もできました。製品の耐久性を含めた最終品質検証も楽々クリアでき、模倣品が作られるリスクも減って、より独自性の高い製品開発が可能となったそうです。
参照元:RICOH 3D PRINT ONLINE(https://www.ricoh.co.jp/3dp/case/kinboshi/?utm_source=media&utm_medium=Monoist&utm_campaign=1902)
ファクトリー・イノベーション株式会社
Mafrkforgedの3Dプリンターはカーボンファイバー(連続炭素繊維)3Dプリンターであり、樹脂の軽さと6061アルミニウム同等の強度を兼ね備えたパーツを製作することが可能です。そのMafrkforged3Dプリンター導入事例として、オフロード車で使うカスタム製品の設計、開発をご紹介します。
業務用3Dプリンター導入以前は、SDHQオフロード車の荷台ラック溶接中の固定に単純な鋼板を使用していたため、曲がった仮付溶接(タッキング)、曲がった溶接、人為ミス等の課題がありました。
Markforged Mark Twoによって、固定具は手作業で製造する必要がなくなり、溶接部品に合わせた効果的な固定具が製造できるようになりました。腐食にも強いため、破損しても簡単に再製造が可能です。
Markforged Mark Twoを導入することで、部品の品質を向上させただけでなく、大幅なコスト削減も実現しました。また固定具をオンデマンド製作することで、開発スピードだけでなくビジネスのペースも向上させ、そのコスト削減率は99%、時間削減率は97%にもなっているそうです。
参照元:ファクトリー・イノベーション株式会社(https://factoryinnovation.co.jp/markforged/markforged-%E6%B4%BB%E7%94%A8%E4%BA%8B%E4%BE%8B/)
試作・開発時点で求められる3Dプリンターのスペックは?
3Dプリンターを導入すれば、いくら設計スピードが早くても、ある程度整った形状の物を作りだせます。数時間で試作品が出来上がるのは、試作・開発段階において重宝されるスペックといえるでしょう。
また、緊急性の高い要求に対して柔軟に対応ができる のも特徴です。たとえば、展示会で必要な金型の量産が間に合わないときに3Dプリンターで対応できます。ある程度の強度があって高精度な物を生み出せる3Dプリンターであれば、造形物を透明にして内部を見せることも可能です。
プレゼンテーションの際に図面や仕様書だけでは不安な方でも、3Dプリンターで実物に近い物を用意するとアピールしやすくなるでしょう。紙ベースのプレゼンテーションよりも伝わりやすくなって、提案が採用される可能性が高まります。
3Dプリンターの造形物では、完成品に比べて質が高くないといったデメリットがありますが、緊急性のある場面で大いに役立ちます。動作検証や製品不良の発見にも3Dプリンターが活躍するでしょう。平面上では、部品の組み付け部分がきちんと合っているのかまでは分かりません。可動域まで含めた、入念なチェックを行えるのが3Dプリンターの強みです。
試作・開発段階での使用を前提とするなら、光造形方式の3Dプリンター が特におすすめです。業務用3Dプリンターの中でも、高精度の造形物が作成でき、産業分野で多く利用されている技術のため、信頼性も高いと言えます。
光造形方式の3Dプリンターは、エポキシ樹脂に紫外線を当てて固め、その固めた層を積み重ねることで、造形物を作り上げます。他の方式と比べて、積み重ねる層の厚みが小さいので、表面が滑らかにできるうえ、複雑な構造の物も対応 できます。
アクセサリーやフィギュア、人工心臓、壁瓦など、さまざまな場面で、光造形方式の3Dプリンターによって作り出された造形物が活用されています。
また、透明度の高い素材も使えるため、内部構造を見せる設計にも対応でき、表面を研磨することでさらに透明度を上げられるため、見栄えの良さも評価されるでしょう。
ただし光造形方式は太陽光で劣化してしまうため、長時間の使用には向きません。また、素材が高価なために製造単価が高く、量産に向いているとは言い難いのが現状です。
それでも、この段階であれば光造形方式の3Dプリンターが利便性が高いでしょう。よりスペックの高い業務用3Dプリンターを求めているのであれば、ぜひ検討してみてください。
よくある質問
Q1
試作・開発段階で内製化すると、どの時間と費用を減らせますか?
A
外注の手配と往復時間を減らし、設計変更を試す回数を増やせる場合があります。外注へ送る図面の確定を待たずに形を確認できる一方、社内での仕上げ作業は増えます。設計変更一回当たりの往復日数で比べると効果が見えます。ただし、データ準備、造形、後処理、検査の工数は社内に移ります。 代表部品で現在の発注から評価までの期間と、内製した場合の全工程を記録して比較すると効果が分かります。
Q2
図面で干渉がなくても、実物の試作で何を確認しますか?
A
相手部品とのはまり具合、可動域、配線や工具の入り方、作業者の手の動きを確認します。配線を仮の硬い部品で置き換えると、実際の曲がり具合や収まりが分かりません。評価に影響する相手部品は実物を組み合わせます。造形物の寸法には誤差があるため、重要箇所を測ってから実部品と組み立てます。 問題が出た位置と造形方向を記録し、設計上の問題か試作品の誤差かを分けて判断してください。
Q3
他社の導入事例を、自社の試作効果の見積もりに使えますか?
A
他社の導入事例は用途の参考になりますが、削減率をそのまま自社へ当てはめることはできません。例えば他社が外注待ちを10日短縮していても、自社の外注が翌日納品なら、同じ時間は削れません。部品サイズ、修正回数、後処理、評価の内容も結果に影響します。 まず自社の代表部品について、現行の発注から評価までの期間と費用を記録します。同じ部品を3Dプリントする場合の全工程を見積もり、同じ起点と終点で比べると導入効果を判断できます。
Q4
高精度な試作と動作検証では、同じ方式を選べますか?
A
同じ方式で足りる場合もありますが、表面の細部と荷重下での動作では優先する材料・条件が違います。外観は表面と細部、動作は荷重と反復回数が判断点です。片方の評価で合格した試作品をもう片方にも流用するなら、限界を明記します。まず必要な寸法、公差、強度、繰り返し回数を整理します。 候補方式で重要部位を含む試験片を作り、外観と動作をそれぞれ評価してから決めてください。
Q5
3Dプリント試作と切削・射出成形の試作は、どう使い分けますか?
A
形状の探索や少量の繰り返し試作には3Dプリントが向く場合があります。初期は形を何度も変えられる方法、最終段階では量産時と同じ材料や工法を選ぶ方法があります。各段階で不合格にする条件を決めておくと試作が漫然と続きません。量産材そのものの物性や厳しい公差を確かめるなら、切削や試作金型が必要なこともあります。 開発の各段階で判断する項目を決め、その評価に必要な材料と精度から工法を選びます。