Markforged(マークフォージド)は、米国を拠点に3Dプリンターの開発などを行っている企業です。2013年、マサチューセッツ工科大学出身の航空宇宙エンジニア、グレック・マーク氏により設立されました。
2013年、Markforgedは世界で初めて(※)「カーボンファイバー」を造形できる3Dプリンターの開発に成功。各種の連続繊維を造形物に使用することを可能にし、機械加工された金属に置き換えられるほど強いパーツを造形できる3Dプリンターを提供しています。
※参照元:TechCrunch Japan(https://jp.techcrunch.com/2014/02/19/20140218the-worlds-first-carbon-fiber-3d-printer-is-now-available-to-order/)/Engadget 日本版(https://japanese.engadget.com/jp-2014-02-19-3d-mark-one-4999-8799.html)
Markforgedの3Dプリンターは、高い強度と精度、耐薬品性、耐熱性に優れた造形が特徴。治具やパーツの最終製品製作や開発をはじめ、自動車産業やロボット製作、航空・宇宙産業といった幅広い分野で活躍。「軽さ」という武器も備えた造形が可能なため、ドローンのパーツとしても重宝されています。
中国の3Dプリンター業界メディア「南極熊3D打印網(nanjixiong.com)」は、3Dプリンター各社の投資価値に着目した分析を実施。
2019年6月6日時点の世界3Dプリンターメーカー20社の時価総額または評価額の一覧を発表しました。それによると、
参照元:36Kr Japan 公式サイト「世界の3Dプリンターメーカー20社の時価総額/評価額を比較」(https://36kr.jp/22389/)
さらに、新勢力として2位以下に3社が名を連ねています。
上記は2019年時点での評価ですが、Markforgedの3Dプリンターは、その後さらに世界的にシェアを拡大しています。
Markforgedの3Dプリンターは、カーボンやナイロンにファイバー素材(連続繊維)を織り込んで造形することのできる、カーボン3Dプリンターです。
Mark Two・X7の3Dプリントは、2つの材料の組み合わせから形成されます。ONYXが表面を覆い、カーボンファイバーなどが内部の構造を強化します。これはMarkforged独自の造形プロセスであり、通常の3Dプリントよりも遥かに強靭なパーツを造形することができます。
※参照元:TechCrunch Japan(https://jp.techcrunch.com/2014/02/19/20140218the-worlds-first-carbon-fiber-3d-printer-is-now-available-to-order/)/Engadget 日本版(https://japanese.engadget.com/jp-2014-02-19-3d-mark-one-4999-8799.html)
Markforgedの3Dプリンターで造形した強靭なパーツは約17トンもあるトラクターを持ち上げます。
(Markforged販売代理店:アイグローバル株式会社による動画)
Markforgedのすべての3Dプリンターには、クラウドに接続された4.3インチのタッチスクリーンとソフトウェア「Eiger」が標準で装備されています。Markforged製品を改善に伴って定期的にアップデートが行われています。材料の使用状況や造形時間など、プリンタを常に監視しているため、無駄を減らすことができます。
ソフトウェア「Eiger」の画面イメージ(Markforged販売代理店:アイグローバル株式会社による動画)
INDUSTRIALシリーズのMark X7のプリントヘッドにはレーザーセンサーが搭載されています。このレーザーセンサーがプリントベッドを1umの精度でスキャンしながら、自動的にX,Y,Z軸の位置を計算します。これによって、誰が操作しても造形精度に誤差が出ることがなく、造形の質を常に一定に保てるのです。
造形中もレーザーセンサーがパーツを測定していて、常に寸法の精度を確認。スキャンされたデータを元に、より完璧な造形に近づくように修正を行うことができます。どこを修正したら良いか数値で判断できるため、全体の製作時間の短縮につながります。
引用元:Markforged公式サイト
http://www.markforged.jp/mark-two/
連続カーボンファイバーをはじめ4種類の連続繊維と、マイクロカーボンを含有したナイロンフィラメント「オニキス」で造形が可能なMarkforgedデスクトップシリーズの最上位機種。優れた剛性と耐久性を持つパーツの造形が可能です。
引用元:Markforged公式サイト
https://markforged.com/3d-printers/x5
マイクロカーボンを含有したナイロンフィラメント「オニキス」を使用した高精細な造形に加え、グラスファイバーも使用可能。ABSの10倍以上の強度を実現できます。レーザーセンサーによる自動でヘッドの高さを調整する機能も搭載。
引用元:Markforged公式サイト
https://markforged.com/3d-printers/x7
X5が持つ機能に加え、レーザー測定機能を搭載、4種類の長繊維ファイバーと「オニキス」が使用可能。Markforgedインダストリアルシリーズの最上位機種。レーザー測定機能により、造形中の製品精度を把握し、測定結果を提示しながら造形するため、高精細・高精度な造形を実現します。
参照元:Markforged(マークフォージド)社が発表している「2020年版 積層造形トレンド報告書」より
100件以上の3Dプリンタの導入事例を分析し、現在、既に3Dプリンティングを活用している方々が、どのように設計と製造におけるワークフローを変革しているか、一部を抜粋してご紹介します。
コンタクトレンズの大手製造業者「Alcon(アルコン)はMarkforgedの3Dプリンターを使用して自動検査プロセスをアップグレードしました。
Alconの検査プロセスの自動アップグレードでは、古いケーブルシステム機器を新しいソリューションに組み込むためにカスタムブラケットが必要でした。仕様が不完全であったためにブラケットは消耗品となり、2週間ごとにケーブルのラインを切り替えていました。
1回限りのブラケットの機械加工には、1部品あたり250ドルで4~6週間のリードタイムが必要です。
Alconでは、Markforgedの3Dプリンターを導入することにより、部品をアウトソーシングする場合と比較して、非常に低コストかつ短いターンアラウンドタイムで、高強度のカーボンファイバー製のエンジニアリンググレードの部品を製造できるようになりました。
複合部品を社内で設計し3Dプリンターによって造形できるようになったことで、Alconは高コストのサードパーティサービスへの依存度を低減し、自社でコスト効率の高いソリューションを作成できるようになったのです。
現在より少ない設計資料で、より詳細な設計調整を行うことができるようになり、40ドルの材料を使用してカスタムブラケットを3Dプリントし、最終設計から24時間で使用できるようになりました。
高強度のソリューションを迅速に実装できるようになったため、Alconではビジョンシステムの2週間ごとの予防保守が不要になりました。最終的に、顧客が期待する品質レベルを維持しながら、より少ないコストでより多くの製品の生産を可能にしています。
Markforged 活用例 参照元
2020年版 積層造形トレンド報告書
ダウンロードはこちらから
製品の即時性と多様性に対する消費者のニーズが高まるにつれて、製造業者はサプライチェーンを簡素化することで、運用コストの削減とワークフローの合理化に対応せざるを得なくなっています。3Dプリンターを使用することで設計の自由度がもたらされるため、従来の手法では簡単に実現できなかった方法で、運用コストの削減とワークフローの合理化をかなえることができます。
3Dプリンターによる積層造形の柔軟性は、電気自動車向けの世界的なシステムソリューションを提供しているDaycoなどの企業の生産において重要な役割を果たしています。
Dayco製品の1つにアフターマーケットの車両駆動システムがありますが、1回の作成ごとに完全に特注される複雑な一連の工具と治具を使用して構成されます。 課題となるのは、自動車工具の多品種少量生産を維持しながら、部品の創造的なエンジニアリングソリューションの設計に集中し続けられるようにすることです。
Daycoでは、ゲージの加工にCNC工作機を使用するのではなく、ゲージをMarkforgedのOnyxで3Dプリントしました。Onyxは、ナイロンとカーボンファイバーで構成された低コストで高強度の熱可塑性樹脂です。Onyxの表面仕上げと精度により、Daycoのエンジニアは、複雑なルーティングスキーム設計を効率的に作成できるようになりました。
Daycoは、複雑な複合部品の生産を自動化することで、熟練のCNC機械工を解放し、高価値の生産プロセスの作成に集中して取り組めるようになったのです。
精度と正確性は、最終用途部品にとって重要なだけではありません。Fischer Connectorsなどの製造業者にとって、信頼性が高く俊敏な試作品製作は、ビジネスの成功の鍵を握っています。Fischerは、高い精度と耐久性を備えた高性能電子機器用の強靭なコネクタを設計、製造、販売しています。
Fischerの課題は、迅速な製造プロセスを維持し、軍需産業および医療業界の主要顧客から契約を獲得することです。契約を獲得するため、Fischerでは実行可能な概念実証(POC)を迅速に繰り返し実行し、競合他社に先駆けて提供しなければなりません。
概念実証(POC)は通常、完成したコネクタアセンブリの試作品の数が必要になります。これらを製作する一連の金型は、通常2~4週間のリードタイムを要し、金型あたり最低5,000ドルのコストがかかります。しかし、金型を作成してもFischerが契約を獲得できる保証は一切ありません。
Fischer は、MarkforgedのOnyxおよびHSHTグラスファイバー素材の耐久性と耐性を活用することで、金型を3Dプリントできるようになりました。これにより、業界の平均より97%低いコストで、24~48時間以内にPOCバッチを作成できるようになり、最終的に、100万ドルもの価値のある契約を獲得できたのです。
カーボンファイバーでの3Dプリントの信頼性と精度により概念実証(POC)をより迅速に市場に提供できるようになったことから、Fischerは医療および軍事関係の契約獲得で優位に立ち、全体的な収益も向上しています。
Markforged社の販売代理店であるアイグローバル株式会社では、「Markforged製品を導入したいのでまずは試してみたい」「導入したいが予算がない」「使用頻度が少ないので購入までは不要」など、個々の事情を抱えている企業向けに、Markforged製品による造形サービスを行っています。お預かりしたデータをもとに研究開発・試作品・治具などの造形を行うサービスです。
造形サービスを依頼したいけれど、3D CADのデータの用意ができない…という場合も問題ありません。アイグローバルの造形サービスは2D CADの2Dデータからでも対応が可能です。
アイグローバルでは、オンラインで3Dプリンターの実演をいつでも見られる参加型の「バーチャルショールーム」や、ARを駆使した3Dプリンター体験など、Markforged製品を身近に体験できるコンテンツを用意しています。まずは気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
会社名 | アイグローバル株式会社 |
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対応プランについて | アイグローバル社では、3Dプリンターの販売だけではなくレンタルにも対応しています。(正式には近日レンタル開始予定) レンタルが可能なのはMarkforged社製の3Dプリンター「Mark Two」。チョップド炭素繊維とナイロン (PA6) の複合材料で強度を確保したオニキスをプラスチック材料とし、単独での造形が可能。また、連続繊維材料であるカーボンファイバーとの組み合わせも可能です。 レンタルサービスを申し込めば機器の設置から調整・トレーニング、レンタル終了時の回収までアイグローバル社が行ってくれます。 |
所在地 | 所在地:(本社)千葉市中央区中央3-13-7 コスモ千葉中央ビル405号 (神田オフィス)東京都千代田区内神田1-18-1 東京ロイヤルプラザ5F-522 |