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3Dプリンターによる筐体設計
用途別3Dプリンター3選を
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この記事でわかること
- 航空機製造における3Dプリンター活用のメリット(部品一体化・工数削減・柔軟な製造)
- ジェットエンジンや小型人工衛星開発における具体策・導入事例
- 課題克服に向けた品質管理や技術開発、宇宙・航空機業界における今後の展望
筐体設計において3Dプリンターを活用する事例が増えている背景
現在、3DCADが一般的になったことから、3Dモデルの確認がパソコンの画面で行えるようになりましたが、実際の組み立てや手触りなどについては現物の確認が大切です。中でも筐体設計については、クライアントや関連部署間でのコミュニケーションが非常に重要であるという面があります。
このような場合にも、3Dプリンターを使用することによってすぐに現物を造形でき、部署間でのコミュニケーションも現物を見ながら行えるためスムーズに進められる、といったように大きな役割を果たしています。以上のような点から、筐体設計において3Dプリンターを活用する例が増えているといえるでしょう。
3Dプリンターで筐体設計を行うメリット
必要なタイミングで造形モデルが用意できる
3Dプリンタの導入により、試作品を自社で設計・製作できるため、時間をかけずに造形モデルを用意できるようになります。
この造形モデルがあることで現物を使った説明が可能となり、さまざまな部門間でのコミュニケーションが円滑に進むことが期待できます。現物を見ながらさまざまな意見を交わせますし、伝達ミス・誤解の発生も防げるといったメリットがあります。
設計精度を高められる
3Dプリンタで造形した現物を用いてコミュニケーションを行うことで、設計精度が向上して設計者への手戻りを抑えるといった点も期待できるでしょう。手戻りを防げれば、商品開発も迅速に行えるようになります。また、試作が可能となる点から評価を行う機会も増え、より設計精度を高めることにつながります。
低コスト・短納期を実現できる
上記の通り、これまで設計者が労力をかけていた他部門との調整業務に関する負担を軽減でき、設計業務への注力が可能となります。この点からも設計精度が向上し、手戻りも抑えられることから商品開発のスピードを上げられる点に加えてコストの削減も可能となります。
3Dプリンターで筐体設計を行った活用事例
3Dプリンターを筐体設計に活用する場合、これまでは頻繁に実施することが難しかった試作品を使った検証も可能となります。例えば、他の部品との検証やかみ合わせの検証においては、金属・プラスチックの接合に使われるスナップフィットのように、本来であれば実物がないとかみ合わせチェックが難しいものについても手軽に検証を行えます。この検証により、もしかみ合わせに問題があると判断された場合は、詳細設計の段階に進む前に設計見直しなどについて検討が可能となります。
また、試作を行うことによって筐体の機能検証もできます。例えば水栓金具やシャワーヘッドを3Dプリンタで造形して実際に水を流して機能面を確認したり、パソコンの筐体を試作して部品の干渉や冷却・放熱性の検証を行うといったことが可能になります。そのほか、金型の製作が間に合わない場合に3Dプリンターで製作したモデルをそのままマスターモデルとして使用する、といったことも可能となります。
筐体設計ができる3Dプリンターメーカー
500万円以下の業務用3Dプリンター
アジリスタ[キーエンス]
インクジェット方式を採用している3Dプリンターであり、独自のノズル構造により高い精度での造形を実現できます。材料として透明樹脂とゴムを切り替えて使用できる点、水溶性のサポート材を使用しているため、入り組んだ形状でも手間なく除去が可能である点も特徴といえるでしょう。また、本体にハードディスクが搭載されていないことから、瞬停によって故障する心配もありません。
Mark Two[Markforged]
造形方式にはMEX/材料押出(FDM)を採用しており、カーボンファイバーに対応しており、高強度・高性能な部品の造形が可能な3Dプリンター。また、高性能なプリンタであるにもかかわらず、コンパクトサイズである点も特徴のひとつです。
さらにMEX方式を採用しているため、運用やメンテナンスを手軽に行えるようになっています。初めて3Dプリンターを導入する場合でもすぐに運用可能でしょう。
G-ZERO[グーデンベルグ]
FFF式の3Dプリンター。超高速造形を実現している点が特徴となっているため、設計検証もスピードアップが期待できるとともに、中量生産が可能である点も特徴となっています。また、その造形スピードから時間的な制約によって諦めていた大きさの造形物にも対応できるようになっています。この点から、これまで外注せざるを得なかった試作物についても、手元での製造を行えます。
500万円以上の業務用3Dプリンター
X7[Markforged]
生産性を重視しているハイエンドカーボンファイバー3Dプリンターであり、造形方式はMEX/材料押出を採用しています。また、ヘッドに内蔵されているレーザーの使用によって、高い精度の造形を可能としている点が特徴です。さまざまな材料を使用でき、プラスチック材料のOnyxのほか、ベース材として難燃性の材料やESDの材料も使用可能となっています。
StratasysJ35 Pro[Stratasys]
コンパクトであるとともに低メンテナンス設計、静音といったようにオフィス向けの設計が行われている3Dプリンター。最終的な製品と同様の外観や感触などを持つプロトタイプの製作ができるため、デザインに関する意思決定も早くなることが期待できます。さらに、マルチマテリアル対応となっており、機能設計・コンセプトモデリングに対応が可能。造形方式はマテリアルジェッティングを採用しています。
ProJet® MJP3600 Max[3D Systems]
プリントヘッドの改良によって、スピーディーな造形が可能となっている点に加え、強力なデータ処理機能を備えている点が特徴。試作や鋳造、最終用途品の造形を行うといったように、幅広い範囲で高い生産性を発揮できる点もポイントとなっています。高い精度の造形を実現できる3Dプリンタであり、造形方式はマテリアルジェッティングとなっています。
よくある質問
Q1
筐体のCADデータがあっても、実寸の試作品を作る必要はありますか?
A
CADで形状の干渉は確認できますが、手に持った感覚、配線の取り回し、工具の入り方、表面の見え方は実物で分かることがあります。特に筐体の角を手で持つ感覚や、蓋を閉める際の力は画面だけでは伝わりにくいものです。実物で確認したい動作を一つ決めて造形します。すべてを毎回造形する必要はありません。
問題が起きやすい合わせ面や操作部から作り、相手部品を組み付けて確認すると効率的です。
Q2
筐体試作で設計の手戻りを減らすには、どの段階で造形しますか?
A
外観が確定してから一度作るより、部品配置と組み付け方法が見えた段階で試す方が不具合を見つけやすくなります。早い段階では一体の粗い形でも十分な場合があります。後半でネジやツメを評価する際は、材料と造形方向が変形に影響するため条件を記録します。初回は形状とスペース、次はツメやネジ穴、最後に外観仕上げと、評価点を分けます。
各試作で変更した寸法を記録し、量産用データと取り違えないようにします。
Q3
筐体の試作品では、どの部品まで組み合わせて確認しますか?
A
基板、コネクター、スイッチ、表示部、ネジなど、筐体の形に影響する実部品を合わせます。例えばコネクターの挿抜時に指が入るか、基板を固定したままネジを締められるかを試します。部品単体ではなく組み立て工程を再現すると手戻りを見つけやすくなります。見た目だけでは、ケーブルの曲げや組み立て順序の問題を見落とす場合があります。
重要な合わせ面の寸法を測り、開閉や脱着を実際に試してください。
Q4
予算を抑えて筐体試作機を選ぶ際、方式より先に何を決めますか?
A
外観、組み付け、強度のどれを主に評価するかを決めます。低価格機でも形状確認には十分な場合がありますが、薄いツメの反復使用や透明窓の見え方まで評価できるとは限りません。必要な検証項目で予算配分を決めます。表面を重視するなら細部と仕上げ、機能確認なら材料と寸法の再現性が重要です。
代表筐体を同じ条件で造形し、完成までの費用と手間を比較してください。価格帯だけで性能を推定しない方が選びやすくなります。
Q5
オフィス設置の筐体試作機では、どの運用条件を確認しますか?
A
本体寸法だけでなく、材料保管、換気、洗浄やサポート除去、騒音、保守作業の場所を確認します。筐体が一つ入る造形範囲だけでなく、日々何個を何時間で作れるかも確認します。蓋と本体を同時に作るか、分けて作るかで運用負荷が変わります。複数の筐体を続けて作る場合は、材料交換と後処理を含む処理量も重要です。
代表筐体で作業時間と繰り返しの仕上がりを確かめると、日常運用に合うか判断できます。