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教育分野での模型などで3Dプリンターが活用されています。具体的な導入事例を紹介します。
引用元:iGUAZU(イグアス)公式HP
<http://www.iguazu-3d.jp/case_study/educational/><http://www.iguazu-3d.jp/case_study/trial/>
製造業や医療分野などで3Dプリンターが活躍するなか、教育分野においても導入が進んでいます。生体や物体の構造を詳しく理解するための解説ツールとして造形物を利用したり、デザインの授業などで立体造形物を扱ったりなど、講義を行う立場での利用が多かったようです。ですが最近では学生向けのワークショップなどで3D講義を行い、子供たちにものづくりを伝えるためのツールとしても活用されています。教科書で見るだけよりも、3Dプリンターによる立体造形で形を触りながら覚えた方が吸収が早いと言われています。
いままでは、紙や画像でしか見ることのできなかったものを立体で表現することで、理解を促進したり、コミュニケーションを活発化させたり、学習意欲を向上させたりすることにつながると考えられています。2次元ではイメージが難しい円錐や三角錐、円などは算数で誰しもが習います。教師によって、黒板の上だけで説明されるとイメージがわきにくく、図形に苦手意識を持つ子供も少なくありません。
3Dプリンターで立体的に視覚化することで図形をイメージしやすくなります。もちろん算数や数学だけではなく、図画工作や美術の授業における活用も有効です。小中学校や高等学校で使用することで、子供たちの創造力を喚起させます。子どもが思い描いたものを3Dで形にすることができるなど、ものづくりへ興味関心・好奇心を刺激するおもちゃとしての効果も期待されています。
また、3Dプリンターは、大学でも広く活用されています。具体的には、建築物のモデルや立体地図の印刷、製品デザインのサンプルの印刷などです。今後手軽になっていくことにより、ますます多くの大学・研究分野へ普及していくことでしょう。
最近では経済産業省も3Dプリンタを学生が使えるように導入する教育機関に対して補助する事を発表しました。まずは大学や高専から数校選定し,実施し,来年には全国の中学、高校まで対象を広げていく予定です。
2020年10月、家庭用・業務用3Dプリンターを扱うSK本舗が、「3Dプリンター学生支援事業」と銘打ったプロジェクトを開始しました。これは、日本国内にある小学校、中学校、高等学校を対象とし、3Dプリンターを寄贈する取り組みです。特徴として、対象は授業だけでなく、部活動や同好会活動における利用にも支援は適用されます。こうしたプロジェクトを実施した理由として、現在の3Dプリンターは以前に比べれば低価格化されてきているものの、当然学生が購入できるような価格ではありません。3Dプリンターに興味を抱いているにもかかわらず余りにも高価で手が届かないという状況は、機会損失となり業界にとっても大きな損失です。そこで、学校に3Dプリンターを寄贈し、まずはこれがどのような製品であるかを知ってもらうことが目的となっています。
また、学生が3Dプリンターに触れることで若く柔軟な発想・イマジネーションが生み出されれば、それが3Dプリンター分野の更なる発展につながるというのもSK本舗の目的です。さらに、学生の発想や利用場面をキャッチすることで、新しいニーズの把握にも繋がり、3Dプリンター業界にとって今後の課題なども見つかると期待されています。
地学を教える国内大学では、3Dプリンターである「ダヴィンチJr.1.0Pro」と「ダヴィンチminiw」が活用されています。地学の授業の際、火山噴火・地すべり・活断層など、専門的な知識が求められる内容となると、紙の地形図を使用しただけでは生徒たちの理解がいまいち進まないという課題を抱えていました。そこで活躍を見せたのが、3Dプリンターです。3Dプリンターによって3D印刷された地形模型を使用し、実際に生徒たちに見る・触るをしてもらったっ結果、理解が一気に進んだとのこと。加えて、野外実習においても3D印刷によって作製した地形模型を持参し、現在立っている地形がこのような形をしていると、知ってもらうことに役立っています。
国内の工業高校機械科で、3Dプリンターを3DCAD授業の発展形として取り入れる試みが始まっています。自分の好きなものを作ることをテーマに設計した造形物が、3DCADの複数のコンテストで賞を受賞するなど、完成度の高いものづくりができました。
デジタルツールでのものづくりを学べる専門塾が、都内の小学校で、図工の時間に3Dプリンターを使用したものづくり体験を実施しています。日本でもIT教育分野を発展されるため、3Dプリンターをはじめレーザーカッターやデジタル工作機器を導入して、子供たちの創造力を育むのが目的です。国内では導入例はまだ少ないですが欧米においては、すでに多くの学校で3Dプリンターが活用されています。
立教大学理学部では2015年より3Dプリンターを理学教育で活用するプロジェクトを開始しています。3Dプリンターを導入して分子モデルを出力。それを教材として授業にする取り組みです。目に見えない分子を可視化するには従来はCGソフトを使用していましたが、画面上を見るだけよりも、触ったり覗き込んだりした方が学生達への訴求力が高まります。
イギリスは、教育投資として3Dプリンターに多額の費用を投じている国の一つです。
イギリスは2012年度以降3Dプリンターの教育現場への普及に注力しており、イギリスの教育省は、技術、工学、数学、デザインの分野で3Dプリンターの活用を積極的に取り入れています。
具体的に、イギリスは約50万ポンド(約7,700万円)もの資金を投資しているのです。そして、イギリス全国60校に向けて3Dプリンターの導入を図ろうとしています。その導入には全く時間はかかりませんでした。2012年には21の中学校に導入実績があります。具体的な科目は、数学とデザイン、技術の授業です。
この成功体験から、再度巨額の投資をする予定です。これから導入実績のある学校を増やしていく計画を立てています。教育科目の一つとして積極的に取り入れていくことで、3Dプリンターを幼いうちから慣れさせることができます。そうすることで、モノづくりに必要不可欠な3DCADの能力を培うことができるのです。
筑波大学は数々のトップアスリートを輩出し、スポーツサイエンス分野で世界的に有名です。近年、筑波大学は文部科学省から委託を受けたチーム「ニッポン」マルチサポート事業研究開発プロジェクトで競技用具の研究開発を行っていますが、その検証、研究課程で3Dプリンターを活用しています。過去にはフェンシングのヒルトを選手用にカスタマイズした用具を開発し、選手の活躍に貢献しました。この時の、スポーツ用具開発で活躍したのが、ストラタシスの3Dプリンタです。
アスリートは自分が出した要望をすぐに確認したいと考えているため、開発者はどれだけ早くそれを提供できるかが重要です。そのため、3Dプリンターで作成した試作品を何回も試してもらうことで、選手との信頼関係を築き要望を確実に形にしていきました。
学校法人安田学園、安田女子大学の女子大造形デザイン学科の演習は、学生に新しい商品やプロジェクトの提案を課しています。3Dプリンターの活用は欠かすことができません。学科長の山下明博教授は、「クオリティが高い造形物を出力したほうが、より説得力が増す。教育効果が高いと予想されます。そうした観点から3Dプリンターを導入しました」と語っています。
検証・つくりかえなど、学生は企業のなかで行われる商品開発の手順を、3Dプリンターを使って何度も体験することができます。3Dプリンターを利用することで、学生たちに実践的な力を身につけている機会を提供できているのです。さらに、石膏費などの費用面においてもかなり節約できているため経済的な効果もあります。
障がい者向け就労支援事業や全国にいるお子さんたちの可能性を無限大に広げる教育事業をしている株式会社LITALICO。
こちらの会社が運営する新鋭のデジタルツールを使用して、日本のものづくりを学習できる専門塾「Qremo(クレモ)」。
こちらの専門塾は3Dプリンターを使用したものづくりを体験できる授業を杉並区区立杉並第四小学校の6年生の図工の時間で開講しています。
3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機器も比較的安い金額で、クオリティの高いものが出てきたことにより、図工を通してお子さんたちの創造力を向上させていく教育分野にもインフォメーションテクノロジーの活用が徐々に浸透しつつあります。
3Dプリンターを使うことで、子供たちが想像する形により近い形をリアルに表現することができるのです。お子さんたちの持つ大人では考えられないような無限のアイデアと発想力をITの力で具現化することにより、0→1をクリエイトすることへの面白さを体験体感できる場を増やし、考えて実行する力を育むことが期待されています。
海の向こうでは現時点で教育現場での3Dプリンターの導入が着実に進行しており、特にアメリカでは1,000の学校に3Dプリンターを置いております。
その他の海外ではイギリスで2012年に21の中学校の授業で3Dプリンターが使用されています。
日本ではなかなか導入事例が少ないなかで、3Dプリンターを使用した新しい時代のものづくりを体験できるワークショップを開いております。
「作ってみよう!」は、3Dプリンタの教育支援ソフトです。3次元の頭を作ることを目的にしています。教育現場で3Dプリンタへの関心が中学校の教材に掲載されたことで高まりましたが、一方で立体的なものの考え方を複雑なCADソフトを使用して生徒に理解させる難しさも課題となっていました。この「作ってみよう!」は簡単に立体模型を作成できます。また、図形作成に重要なXYZ座標の概念も学ぶことが可能です。作成したモデルは3Dプリンタで出力が可能なので、パソコン上で作ったものを、すぐに実際の立体物として手に取ることができるようになっています。
また、ゲーム感覚で子どもたちに楽しんでもらえるように、クイズ形式の練習問題も用意し、採点も可能です。従来は使い方も細かく、それらを覚える必要がありましたが、「作ってみよう!」は操作も簡単なのでその心配はありません。
教育現場での3Dプリンター活用は、各国の政府も注目しています。現在は比較的コンパクトで低価格の3Dプリンターが登場し始めたため、教育分野での3Dプリンターも以前より導入しやすくなっているなど環境が整ってきています。国内でも子供たちのデザインやプログラミング能力を向上させたり、授業への積極性を高めるツールとして活用され始めています。3Dプリンターの手軽さがさらに増せば多くの教育現場への導入ができるため、学生や子供たちのものづくりへの好奇心をかきたてることができることでしょう。
近年、製造品の多様化に伴い、3Dプリンターに求められる機能性においても、性能が重視されることがポイントとなってきています。
ここでは、500万円未満のミドルクラスでありながら、高精細、高強度、短納期で造形できる3Dプリンターをそれぞれ紹介します。各製品の特徴に加えてショールーム情報もまとめました。
製品名 | 積層ピッチ | 最大造形サイズ (W×D×H) |
造形方式 | 材料などの特徴 |
---|---|---|---|---|
アジリスタ [キーエンス] |
0.015mm~ | 297mm×210mm×200mm | インクジェット方式 |
アジリスタは、国産の3Dプリンターでは数少ないインクジェット方式を採用し、積層ピッチ0.015mmの高精細造形を実現。水溶性のサポート材の為、細部までしっかりと造形でき、部品の組付けまでできる精度を誇ります。 使用可能な材料はUV硬化アクリル樹脂とシリコーンゴム。 樹脂はアクリルに少量のウレタンを配合し、靭性を持たせているため、ネジを締めても割れないことが特徴です。 |
Mark Two [Markforged] |
0.1mm~0.2mm | 350mm×132mmx154mm | 熱溶解積層方式+ 連続フィラメント方式 |
Mark Twoは、Markforged独自のカーボンファイバー連続繊維を使用できる方式が採用されています。 これは、造形物の内部にカーボンファイバーで骨組みを組成しながら形作っていく方式です。 これにより、高強度の造形が可能になり、製造工程で使う治具や工具、より強度が求められる部品の製造を行うことができます。 |
G-ZERO [グーデンベルグ] |
0.05〜0.250mm | 250mmx210mmx200mm | 熱溶解積層方式 |
G-ZEROは、最大500mm/sというスピーディな造形ができます。 短時間で造形が可能になり、生産性が向上します。 高速で動くヘッドの振動を抑える技術も搭載し、ハイスピードながら安定感のある造形ができます。 |
■選定条件
アジリスタ[キーエンス]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高精細」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、インクジェット方式を採用し、積層ピッチが最小の製品として選出
Mark Two[Markforged]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 強度」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、カーボン素材を使用できるもので、唯一、熱溶解積層方式+連続フィラメント方式を採用している製品として選出
G-ZERO[グーテンベルク]……2023年7月19日、Googleで「3Dプリンター 高速」と検索して表示された50万円以上500万円未満の製品のうち、造形速度が最速の製品として選出しました。