生産・製造段階

3Dプリンターを導入すると、生産・製造段階でどのようなことが可能になるのか、まとめています。

生産・製造段階で3Dプリンターができること

3Dプリンターを導入すれば、オーダーメイドの一点ものであれば、簡単に製造できます。小型であればあるほど付加価値が高くなり、コスト面の心配も少なくなるでしょう。

たとえば補聴器の場合、これまでは完成までに1週間かかっていたものが、3Dプリンターの導入により短時間で完成させられます。また、耳型をスキャンするため、それぞれの耳の形に合った補聴器を作り出せます。

歯科の分野でも3Dプリンターが活躍します。詰め物や被せ物を3Dプリンターを使うことで、簡単に、素早く作り出せます。

また、航空部品も3Dプリンターにより生み出せるようになり、2015年にはオーストラリアの研究チームが、ジェットエンジン部品の量産に世界で初めて成功しています。

無重力の環境下でも3Dプリンターを利用できます。宇宙空間でソケットレンチの製造が可能となり、今後ますます生産・製造段階で3Dプリンターが取り入れられるでしょう。

このように、3Dプリンターはユーザーの要求に合わせた迅速な設計を可能にしてくれるマシンなのです。動作や組み付けの確認を行えるだけではなく、さまざまな分野で必要とされるツールです。

ただし、3Dプリンターでは物によっては1cmの造形に約1時間かかります。小型の造形物ならば迅速につくり出せますが、大型の物になると時間もコストも割かなければなりません。さらに、3Dプリンターの機種によっては、積み重ねる層の厚みが大きいため、表面がザラついていることも…。

現状では質の高さは、従来の製造方法には及ばないので、製造過程を3Dプリンターだけに頼るのは、現実的とは言えません。

質の高さを求めるのであれば、1日に数百~数千個つくり出せる射出成形型や、細かい箇所まで設計通りに作れる切削加工の方が適しています。成果物に見合った技術を選びましょう。

3Dプリンター導入済企業の例

アルテック株式会社

3Dプリンター導入前は、治具の作成を外注していたアルテック。しかし、3Dプリンターを採用したことで、納期の短縮に成功しています。

さらに、金属用の設計図が不要になり、コストが10%ダウン。今後は3Dプリンター用の設計図を利用して、さらに20%以上のコスト削減を目指しているそうです。

部品を減らすだけで、かなりの費用削減が期待できます。単価100円で6万個もある部品がなくなれば、それだけで600万円の削減に成功するでしょう。工程数も1工程減らすだけで、約100万円を削減できるケースがあります。

治具のつくり直しのシーンでは、治具1点で約1万円かかる場合もあるでしょう。生産数1日100個、単価1万円であれば、1日の機会損失額は100万円です。試作品調達でも1点5万円かかることがあります。

海外で治具のつくり直しが発生した場合、出張者を現地に残して作業しなければいけません。とある企業では、35個分のつくり直し費用の他に、機会損失や出張延長、宿泊費用を合わせて900万円(10日間)の損失額が発生した事例もあります。

逆に、3Dプリンターを導入して利益が発生するケースもあります。

精度が高い造形モデルならば、何ページもある説明資料をしのぐ強力なプレゼンツールとして活躍します。250個の製品を3社から受注できると、単価1万円であれば750万円の売上につながるでしょう。

このように3Dプリンターを用いれば、作業品質および生産効率の改善が見込めます。また、新たな視点で生産プロセス全体の見直しが可能となり、在庫管理の手間やコストの負担が削減されるでしょう。

生産・製造時点で求められる3Dプリンターのスペックは?

3Dプリンターならば、高精度で複雑な形状の物や、着色済のモデルを作れます。ただし、造形の方法によっては、横からの圧力に弱い、製造コストが従来よりも必要、といったデメリットがあります。

それらを踏まえて、生産・製造段階での使用に向いていると言える造形方式は、粉末焼結方式インクジェット方式粉末接着方式の3つ。

それぞれの大まかな特徴としては、粉末焼結方式はジェットエンジンの燃料ノズルや支柱の製造にも用いられており、インクジェット方式は機種によっては複数の素材を組み合わせて造形できます。また、粉末固着方式は、接着剤を着色することで、フルカラーの造形物を制作できます。

それぞれに求める造形物に最適な3Dプリンターを選び、自社の成長へとつなげましょう。